1990 Fiscal Year Annual Research Report
北海道における多発性硬化症の症候学的及び疫学的研究
Project/Area Number |
02670354
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田代 邦雄 北海道大学, 医学部附属病院, 教授 (90002154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森若 文雄 北海道大学, 医学部附属病院, 助教授 (30142722)
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Keywords | 多発性硬化症 / 急性横断性脊髄症 / 神経疫学 / 神経症候学 / 磁気共鳴画像 |
Research Abstract |
多発性硬化症は神経難病の中で最も代表的な疾患で,その有病率は欧米の多発地帯である寒冷地帯では有病率人口10万に対し60人前後,一方本邦では2〜4人とされ、しかも本症の症候学的特徴は本邦と欧米では異なるとされていた。今回、我々は北海道在住の診断確実な多発性硬化症62例で,その症候分析を行い急性横断性脊髄症を経過中に呈した16症例と、呈さなかった46例に分けてみると,前者は従来から言われている日本に特異的な多発性硬化症にあたり、後者は欧米の多発性硬化症に類似することが明らかとなった(J.Neurol.Sci,1990)。また、北方圏に属する北海道での本症の有病率は従来の人口10万に対し2ー4という値より多いと推定されるにいたり、現在、本症と診断された症例を順次、デ-タ用紙に記入しファイル中である。多発性硬化症の神経症候のうち,内側縦束症候群,The useless hand syndrome of Oppenheimは重要であり、その症候ならびに画像診断も行っている(神経内科 1991,脊椎脊髄ジャ-ナル1991)。カナダ・バンク-バ-のブリティッシュコロンビア大学多発性硬化症外来は,その組織,規模,そして多発性硬化症患者数では世界的にトップクラスにあり、我々のデ-タをそこへ送り、症候学的、および疫学的比較研究が開始されている。 多発性硬化症患者の血清および髄液は,超低温フリ-ザ-に蓄積されてきている。また、本症の治療については、急性期のステロイド療法の他に、再発予防のための免疫抑制剤,後遺症としての痙性麻痺,排尿障害については、各々,多施設共同による治験を開始している。 多発性硬化症は磁気共鳴画像の応用により、さらに診断確定例が増加しており、その方面の検討も重要である(臨床医,1991)。以上の実績をふまえて,北海道全体の多発性硬化症の把握,解析をすすめている。
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[Publications] Fukazawa T,Hamada T,Tashiro K,Moriwaka F,et al: "Acute transverse myelopathy in multiple sclerosis." Journal of the Neurological Sciences. 100. 217-222 (1990)
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[Publications] 森若 文雄,田代 邦雄,伊藤 和則,須藤 和昌 他: "多発性硬化症と脊髄症状ー臨床所見と画像所見の対比についてー" 日本パラプレジア医学会誌. 3. 198-199 (1990)
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[Publications] 深澤 俊行,浜田 毅,森若 文雄,田代 邦雄: "内側縦束(MLF)症候群のMRI" 神経内科. 34. 115-116 (1991)
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[Publications] Fukazawa T,Tashiro K,Hamada T,Moriwaka F,et al: "Multiple sclerosis in Hokkaidoーnorthernmost island of JAPAN:prospective analysis of clinical features." Japanese Journal of Medicine. 30. (1991)
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[Publications] 田代 邦雄,深澤 俊行: "脱髄疾患の画像診断" 臨床医. 17. (1991)
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[Publications] 田代 邦雄,伊藤 和則: "The useless hand syndrome of Oppenheim" 脊椎脊髄ジャ-ナル. 4. (1991)
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[Publications] 田代 邦雄(分担): "「疾患別:最新処方‘92年版」:多発性硬化症 急性散在性脳脊髄症" メジカルビュ-社,東京, (1992)