1990 Fiscal Year Annual Research Report
脱髄機構と非免疫学的主要組織適合複合体(MHC)についての研究
Project/Area Number |
02670355
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
照沼 裕 東北大学, 医学部, 助手 (50217436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 義朗 東北大学, 医学部, 助教授 (50203914)
山本 悌司 福島県立医科大学, 教授 (10106487)
岩崎 祐三 東北大学, 医学部, 教授 (00142927)
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Keywords | EAE / 脱髄 / ミクログリア / Ia抗原 / Waller変性 |
Research Abstract |
我々は、実験的アレルギ-性脳脊髄炎(EAE)の組織破壊について主に形態学的側面から研究してきた(Acta Neuroーpathol.,1989)。その中で主要組織適合複合体(MHC)ClassII(Ia)抗原陽性細胞の出現に焦点を当て検討した結果、この陽性細胞はミクログリアでありWaller変性によって誘導されることを見い出した(J.Nueoimmunol.,1989)。今回我々は、このWaller変性によって誘導される、ミクログリアのIa抗原陽性の発現が中枢神経(CNS)においてどのような役割を果たすのかを検討した。 まずラットのCNS組織に機械的障害(皮質の寒冷障害、眼球摘出)を加えて、Waller変性を惹起しておき、そのラットにmyelin basic protein(MBP)で感作したラット脾細胞を移入して、受身EAEを作製した。典型的EAEの病巣に加えて、Ia抗原陽性ミクログリアの分布に一致して、明かな炎症像が出現した。すなわち寒冷障害の場合は同側の視床、眼球摘出の場合は同側の視神経、対側の視索、上丘にそれぞれ炎症像が認められた。これらの部位はEAEの好発部位とは異なっており、更に、免疫組織学的に浸潤T細胞の分画を検索したところ、EAEと同じ分画であった。すなわちEAEの非好発部位にEAEが発症していることが示された。 以上のデ-タは非免疫学的刺激で起こったWaller変性、もしくはその部位に浸潤しているIa抗原陽性のミクログリアがEAEの発症に重要な役割を担っていることを示唆するものであり、脱髄の発症機序を解明する一端となるであろう。
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[Publications] Ohara Y.Konno H.Iwasaki Y.Yamamoto T,Terunuma H.Suzuki H: "Cytotropism of Theiler's murine encephalitis viruses(TMEV)in oligoーdendrocyteーenriched cultures." Arch.Virol.114. 293-298. (1990)
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[Publications] Suzuki H,Yamamoto T,Yamamoto H,Iwasaki Y,Konno H,Ohara Y,Terunuma H:"Intraneural lamininーlike reactivity in the human central nervous system." Brain Res.520. 324-329 (1990)
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[Publications] Konno H,Yamamoto T,Suzuki H,Yamamoto H,Iwasaki Y,Ohara Y,Terunuma H,Harata H:"Targeting of adoptively transffered experimental panenncephalitis lesion at the sites of Wallerian degeneration." Acta Neuropatol.80. 521-526 (1990)