1990 Fiscal Year Annual Research Report
グリア細胞成長因子(GMF)によるラットグリア芽細胞分化誘導機構
Project/Area Number |
02670362
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
伊藤 仁一 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (60167260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 泰治 名古屋市立大学分子医学研究所, 教授 (60094364)
田中 亮 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (90094383)
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Keywords | グリア細胞成長因子 / グリア芽細胞 / 形態分化 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
グリア細胞成長因子(glia maturation factor, GMF)はラットグリア芽細胞の増殖を促進した後、形態分化を誘導する成長因子である。本因子は分子量19,500Mrの酸性タンパク質でウシ大脳より精製された。本研究では、GMFで刺激されたラットグリア芽細胞が増殖に続いて形態分化に至るまでの生物学的細胞変化を理解するため、これに関わる一連の細胞内反応を検討した。 GMF刺激されたラットグリア芽細胞の形態分化はCaAA2+BBとCaイオノフォアにより阻害され、Wー7により促進された。しかもGMF刺激後、形態分化誘導に先立ちCaAA2+BBinfluxが抑制され細胞内Ca濃度が減少することが示唆された。これらの知見から、カルモジュリン機能の抑制が形態分化誘導に重要な細胞内反応であることと考えられた。さらにこれはstress fiberの崩壊とmicrofilamentによる裏打ち構造形成、およびglia filamentやmicrotubuleの束化といった細胞骨格構造変化の引金となることが分かった。またタンパク質合成の過程が形態分化には必須で、特に19K Mr タンパク質の合成が分化に先だって促進された。このように、GMFの分化誘導作用は少なくともCa/カルモジュリン機能の抑制とタンパク質合成という2つの異なる反応に依存して発現されることが示唆された。
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