1990 Fiscal Year Annual Research Report
脳幹部交感神経系の脳血管反応性および自律神経反射に対する役割
| Project/Area Number |
02670364
|
|---|
| Research Institution | Saitama Medical University |
|---|
Principal Investigator |
島津 邦男 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (60051596)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 誠悦 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (20220890)
於本 淳 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (60214227)
山元 敏正 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (10220485)
杉本 秀芳 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (80201573)
金 浩澤 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (50183306)
|
|---|
| Keywords | 脳血管反応 / 青斑核 / 孤束核 / 脳循環自動調節 / 脳循環化学調節 / 椎骨脳底動脈血流 / 自律神経機能 |
|---|
| Research Abstract |
脳幹部損傷により血圧・呼吸・体温異常のみならず脳循環自動調節や脳循環化学調節の障害など脳血管反応性に著明な障害が生じることは周知である。これらの異常に対し脳幹部自律神経核である青斑核および孤束核が関与しているか否かを検討した。
1.実験には動物(サル・ネコ)を用い,αークロラロ-ス・ウレタン麻酔下に股動静脈にカテ-テルを挿入し血圧測定,脳血・血液注入および血液ガス・pHの測定を行った。なお,自律神経機能の検討には一側前脚動脈にカテ-テルを挿入し血圧・脈拍を連続記録した。2.小開頭後,上矢状静脈洞にカテ-テルを挿入し脳静脈血ガス・pHの測定に用いた。サルでは内頚動脈・椎骨動脈に直接電磁流量計を装着し血流を連続的に測定した。3.動物を脳定位固定装置に固定し,stereotaxicallyに電極を一側(右側)青斑核ないし孤束核に挿入,電気凝固法(0.8〜1.0mA,60秒)により破壊巣を作成した。実験終了後,脳を摘出し10%ホルマリン固定により破壊部位を確認した。
【結果】 1.破壊一週間後,青斑核破壊群では同側の内頸動脈血流は有意に増加した。2.自律神経機能はいずれの核破壊一週間後に,交感神経機能の低下が認められた。しかし,Aschner試験・“Valsalva"試験の反射性徐脈を指標とした副交感神経機能は保たれていた。3.脳循環自調節能は内頸動脈系・椎骨脳底動脈系ともにshamーoperation群との比較で有意差を認めなかった。4.脳循環化学調節能は内頸動脈系において,いずれの破壊群もsham群に比し異常を認めたが,椎骨脳底動脈系では右孤束核破壊群で有意な障害を示した。
以上の成績は,脳幹部自律神経核が内頸動脈系および椎骨脳底動脈系の血管反応性に関与していることを示唆する。
|
-
[Publications] SUGIMOTO,H.: "A role of locus ceruleus in autonomic nervous functions" XXth Internat.Cong.Neuroveget.Res.Fー05ー01,Tokyo.Japan.(1990)
-
[Publications] 金 浩〓: "一側孤束核破壊の脳血流および脳循環自動調節能に及ぼす影響" 日本脳卒中学会総会(第15回),第269席,(福岡). (1990)
-
[Publications] 澤田 雅彦: "自律神経機能に対する一側孤束核破壊の影響" 第3回 日本神経学会総会,第IーFー12席.(横浜). (1990)
-
[Publications] 浅野 賀雄: "一側孤束核破壊の脳代謝および脳循環化学調節に対する影響" 第2回 日本脳循環代謝学会総会,第20席(東京). (1990)
-
[Publications] 澤田 雅彦: "一側孤束核破壊の自律神経反射におよぼす影響" 第16回日本脳卒中学会総会,第20席(大阪). (1991)
-
[Publications] 島津 邦男: "椎骨脳底動脈系の血管反応性に対する青斑核および孤束核の役割" 第16回 日本脳卒中学会総会,第21席(大阪). (1991)
