1990 Fiscal Year Annual Research Report
経ペプチッドの中枢性神経疾患における病態生理学的意義に関する研究
Project/Area Number |
02670368
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
満間 照典 愛知医科大学, 医学部, 教授 (00111857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鹿山 正人 愛知医科大学, 医学部, 助手 (60177615)
中尾 直樹 愛知医科大学, 医学部, 講師 (00140038)
広岡 良文 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (90126821)
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Keywords | 神経ペプチッド / βーエンドルフィン / 脳血管障害 / 薄束ジストロフィ-マウス / TRH / P物質 / ソマトスタチン |
Research Abstract |
平成2年度においては脳血管障害発作後における神経ペプチッドの変動を血中βーendorphinについて検討した。血中βーendorphin濃度は脳梗塞、脳出血共に発作後2日目に頂値となる上昇を示し、その後正常値となり、リハビリテ-ション開始と共に再び上昇し、発作後約1ケ月で正常値に復する変動を示した。βーendorphinのこの様な変動は脳病変の部位、病変の大きさ、合併症の有無、その種類、意識レベルなどにより差異が認められた。また、βーendorphinの分泌刺激試験であるCRFテストをこれら症例に行ったところ、脳出血、脳梗塞共にCRFに対するβーendorpinの増加反応は正常対照に比し、発作後1ケ月でも低下を示していた。βーendorphinの持つ鎮痛鎮静作用と前述の成績を考え合せると、βーendorphinのこれらの変動は副賢皮質ホルモンの変動と共に、ストレスに伴う生体の適応反応と考えられた。今後これらの変動の治療法や治療効果による差異について検討を加える予定である。遺伝性で薄束ジストロフィ-を示すgracil axonal dystrophy mouse(GAD)が運動失調のモデル動物として研究が進められている。そこで、このマウスにおける運動失調と神経ペプチッドの関連について検討するため、GADに中枢神経系のthyrotropinーreleasing hormone(TRH),substance P及びソマトスタチン濃度を我々の開発した、特異性の高いラジオイムノアッセイ法で測定した。病変の認められる部位でこれらのペプチッドの測定に変動を認めたが、その他の部位では有意な変動を示さなかった。この成績と前述の神経ペプチッドの作用を考え合せると、これらペプチッドの変動が運動矢調出現になんらかの関与をしていることが考えられた。
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