1992 Fiscal Year Annual Research Report
体性感覚路の視床からの投射系路および大脳内連合機序の研究
Project/Area Number |
02670370
|
Research Institution | Unversity of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
辻 貞俊 産業医科大学, 医学部, 講師 (30117171)
|
Keywords | 体性感覚誘発電位 / 第1体性感覚野 / 第2体性感覚野 / アセチールコリン / マイクロダイアライシス / ニューロトランスミッター |
Research Abstract |
1.ネンブタール麻酔下ネコで,橈骨神経電気刺激による体性感覚誘発電位(SEP)を第I,II体性感覚野(SI,SII野)皮質上より記録し,ネコにおけるSII野の同定を試みた.SI野からは明瞭な皮質成分が記録されたが,SII野を同定できるような誘発反応を両側半球から記録できなかった.SII野をネコで同定できない理由として1)SII野が大脳表面近くにない可能性(大脳溝底部に存在)と,2)SII野の誘発電位は麻酔に対する抵抗性が弱いといわれているので,ネンブタールの影響により検出できなかった可能性が考えられる. 2.大脳皮質体性感覚野でのニューロトランスミッターの分析をネコの大脳皮質運動野(M),SI野にて行った.ネンブタール麻酔下のネコを開頭し,SI野,M野等に脳内微小透析用プローブを刺入しリンゲル液で潅流(2μl/min)した.回収した潅流液中のアセチルコリンを高速液体クロマトグラフで分離し,電気化学検出器で定量した.電気刺激は対側橈骨神経を露出し,0.5mA,1msec,3.3Hzで15分間電気刺激した.橈骨神経電気刺激によりアセチルコリン遊離量は,SI野で刺激前に比べ,2.0±0.2倍(n=5)に増加した.またM野では1.5±0.2倍(n=3)の増加がみられたが,頭頂葉では有意な変化はみられなかった. 橈骨神経電気刺激により,S1野,M野で神経伝達物質としてのアセチルコリン遊離の増加がみられた.この結果よりS1野およびM野での皮質性SEPの出現にコリン作動性神経伝達物質が関与していることが明らかである.神経伝達物質の各部位での分析により体性感覚路の大脳皮質への投射系をより明らかにできることを示唆している。
|