1991 Fiscal Year Annual Research Report
ガンマ-インタ-フェロン(IFNーα)の動脈硬化道展追編における役割
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02670386
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
下門 顕太郎 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部機能評価研究室, 研究員 (30192115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益田 順一 国立循環器病センター研究所, 疫学部, 室長 (70173747)
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Keywords | 動脈硬化 / サイトカイン / インタ-フェロン / PDGF / PDGFレセプタ- / 平滑筋細胞 |
Research Abstract |
1.前年度までに活性化リンパ球より産生されるガンマ-インタ-フェロン(以下、IFN)が血管平滑筋の増殖を抑制すること、1251ーPDGFをもちいて調べたPDGFレセプタ-数は減少させるにもかかわらず、PDGFレセプタ-mRNAは逆に増加させること、またautocrine増殖因子であるPDGF AAのmRNAも増加させることを明らかにした。本年度はまず、これらのディスクレパンシ-の原因を検索した。その結果、IFNは条件によって増殖を促進することもある、両方向性の増殖の制御因子であることが明らかになった。 血管平滑筋を1%plasmaーderived serum存在下で5日間培養した系においてはIFNは平滑筋の増殖を促進した。効果発現までに時間的遅れが存在すること、IFNで処理した平滑筋の培養上清中に増殖因子活性が検出されることより、IFNの増殖促進はautocrine増殖因子の産生を介する間接的なものと考えられた。またこの条件下では1251ーPDGFによるラジオレセプタ-アッセイでもmRNAレベルにおいてもIFNはPDGF Bレセプタ-を増加させた。 今回の結果より、IFNは当初予想していたように、たんに動脈硬化を抑制するばかりでなく、平滑筋を増殖させ動脈硬化を促動する可能性もあると考えられる。 2.ヒト頚動脈内膜剥離手術標本を用いて、免疫組織化学によりIFNの存在を検索したが、弱陽性を思わせる所見も得られたが、存在を証明したとする確かな所見は得られなかった。ヒト動脈硬化病巣におけるIFNの量は存在してもごくわずかと考えられ、PCRによるIFN mRNAの検出など、検出感度の高い方法を用いる必要があると思われた。
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