1990 Fiscal Year Annual Research Report
食塩感受性高血圧症の成因に関する研究ー日・米共同研究ー
Project/Area Number |
02670396
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松浦 秀夫 広島大学, 医学部・附属病院, 講師 (50136040)
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Keywords | 本態性高血圧症 / 食塩感受性 / nonーmodulator / 陽イオン代謝 / Ca調節ホルモン / 正〜高レニン性 |
Research Abstract |
高血圧症の家族歴のない正常血圧対照群5例、正〜高レニン性本態性高血圧症患者10例および低レニン性本態性高血圧症患者2例に増塩(NaCl250mEq/日、1週間)ー減塩(10mEq/日)のバランススタディ-を実施した。増塩期に実施したアンギオテンシンII(AII)ーパラアミノ馬尿酸(PAH)負荷試験の結果、AIIによるPAHクリアランス(C_<PAH>)の減少が120ml/min・m^2以上をmodulator、120ml/min・m^2未満をnonーmodulatorと判定した。nonーmodulatorは対照群1例(20%)、正〜高レニン性本態性高血圧症7例(70%)、低レニン性本態性高血圧2例(100%)に認められた。Williamsらの報告では正〜高レニン性本態性高血圧症におけるnonーmodulatorの頻度は40%であり、日本人においてnonーmodulatorの頻度が高い可能性が示された。しかし症例が少ないので症例の追加が必要である。増塩期と減塩期における腎血流量の差はmodulatorが大であり、各期の腎血流量もmodulatorの方がnonーmodulatorより大であった。しかしながら増塩期と減塩期の平均血圧の差、すなわち食塩感受性とAII負荷によるC_<PAH>の変化や、腎血流量との間には相関は現時点では認められていない。またAII負荷に伴う血漿アルドステロン濃度(PAC)上昇は、増塩期と減塩期を通じてnonーmodulatorとmodulatorの間に差を認めず、これはWilliamsらの結果と異なっていた。一方低レニン性本態性高血圧症の2例では従来の報告に一致した成績であり、高い食塩感受性を示した。増塩から減塩にかけての他の指標の変化の程度は、modulatorが3例と少数であるため統計学的検討は行っていないが、modulatorとnonーmodulatorの間に差を認めていない。現在症例を追加中であり、対照群および正〜高レニン性本態性高血圧症におけるmodulator、nonーmodulatorの比較が可能になると考えている。
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