1990 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞基底膜プロテオヘパラン硫酸の機能とその構造
Project/Area Number |
02670398
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
島田 和幸 高知医科大学, 医学部, 講師 (90145128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松林 公蔵 高知医科大学, 医学部, 助手 (70190494)
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Keywords | 内皮細胞 / 細胞外基質 / 基底膜 / プロテオグリカン / ヘパラン硫酸 / ヘパリン / アンチトロンビンIII / 抗凝固活性 |
Research Abstract |
内皮細胞のグリコサミノグリカン(GAG)は、血管内腔側表面のみならず、基底膜側にも存在することが知られている。しかし、基底膜側GAGの血液凝固調節における生理的意義は不明である。内皮細胞が産生した基底膜における抗凝固性へパリン様物質の局在を、無処理の培養内皮細胞と比較して検討した。豚大動脈培養内皮細胞を無酵素的に処理することにより、基底膜をペトリ皿上に残して、細胞外基質(ECM)標本を作成した。無処理の内皮細胞、ECMともに ^<125>IアンチトロンビンIIIを可逆生、飽和性に結合した。両者のKm値(25nM)には差がなかったが、ECMの最大結合能は内皮細胞の約40%であった。ECM、内皮細胞いずれのアンチトロンビンIII結合も、低濃度のヘパリン、ヘパラン硫酸により特異的に置換され、また酵素的なヘパラン硫酸の除去により無処置の10%以下に減少した。一方、コンドロイチン硫酸やデルマタン硫酸によっては、アンチトロンビンIII結合の置換は高濃度を要した。また、これらのGAGを酵素的に除去しても、結合は変化しなかった。ECM中の ^<35>SーGAGのほとんど(90%)がヘパラン硫酸であったが、これは無処理の内皮細胞が産生するヘパラン硫酸の約40%に相当した。ECM中のヘパラン硫酸プロテオグリカンを、アンチトロンビンIII親和性クロマトグラフィ-で分画すると、ほとんどが結合しないかあるいは低濃度NaCl分画に溶出したが、全体の15〜20%1M NaCl以上の濃度で溶出した。またECM上では、トロンビンのアンチトロンビンIIIによる不活化は、それが存在しない場合に比し、有意に促進された。すなわちECMにヘパリン様活性が認められた。以上、培養血管内皮細胞の基底膜側にも、相当量のアンチトロンビンIII親和性の抗凝固性ヘパラン硫酸が局在する。その生理的意義は明かでないが、内皮細胞が剥離された後の、内皮下組織の抗凝固活性に関連しているか、あるいは正常の内膜面でも内皮細胞下で抗凝固活性が発揮されているのかも知れない。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kobayashi M,Shimada K,Ozawa T.: "Human recombinant interleukinー1βー and tumor necrosis factor αーmediated suppression of heparinーlike compounds on cultured porcine aortic endothelial cells" Journal of Cellular Physiology. 144. 383-390 (1990)
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[Publications] 島田 和幸: "血管壁グリコサミノグリカンと血栓" 日本血栓止血学会誌. 1. 73-83 (1990)
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[Publications] 島田 和幸: "血管内皮細胞の抗凝固性とヘパリン様物質" 臨床病理. 86. 116-123 (1990)
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[Publications] 島田 和幸(折茂 肇編): "血管壁細胞の機能とその制御機構" 共立出版社, 181 (1990)