1991 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞基底膜プロテオヘパラン硫酸の機能とその構造
Project/Area Number |
02670398
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
松林 公蔵 高知医科大学, 医学部, 講師 (70190494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 和幸 自治医科大学, 医学部, 教授 (90145128)
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Keywords | 内皮細胞 / 細胞外基質 / 基底膜 / プロテオグリカン / ヘパラン硫酸 / ヘパリン / アンチトロンビンIII / 抗凝固活性 |
Research Abstract |
培養血管内皮細胞から基底膜を単離して、プロテオヘパラン硫酸を抽出した。豚大動脈由来の血管内皮細胞を大量に培養し、ペトリ皿上に付着した内皮細胞をTriton Xー弱アルカリ処理することにより、基底膜標本を作成した。ついで、基底膜成分を蛋白分解酵素阻害剤存在下で、グアニジンにより抽出した。その際、プロテオグリカンに放射性同位元素を代謝的に取り込ませて、グリコサミノグリカン部分を[35S]硫酸で、コア蛋白部分は、[3H]ラベルの放射性アミノ酸(セリンなど)で標識した。基底膜中には、細胞表面および周囲に局在する ^<35>Sーグリコサミノグリカンの約60%が回収され、そのほとんどがヘパリチネ-スにより分解されるヘパラン硫酸だった。DEAE陰イオンクロマトグラフィ-では、0.35M NaCl付近で溶出される主要なピ-クと0.5M NaCl付近で溶出されるマイナ-なピ-クに分離された。ヘパリチネ-スおよびコンドロイチネ-ス処理により、前者はヘパラン硫酸プロテオグリカンであり、後者はコンドロイチン硫酸であると推定された。この段階でヘパラン硫酸プロテオグリカンの画分を凍結乾燥後、SDS存在下で電気泳動すると、スタッキングゲル直下に、還元処理によっても変化しない巨大なプロテオグリカンの単一バンドが得られた。ヘパリチネ-ス処理後に、これは分子量が減じ、200KD以上の主要な単一のバンドとそれよりも分子量の低い幅広いバンドに分離した。すなわち、培養血管内皮細胞からその基底膜を単離することが可能であった。内皮細胞が産生するヘパラン硫酸プロテオグリカンの大半が基底膜に局在している。今回の研究では、内皮細胞基底膜に分布するプロテオヘパラン硫酸は、比較的容易に抽出可能であることがわかった。しかし、その分子量は数十万と巨大分子であり、さらに、コア蛋白にも一部多様性が存在いることが示唆された。今後、さらに特異抗体などを用いて、コア蛋白の分画、精製を進めていく予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kobayashi M,Shimada K,Ozawa T.: "Human recombinant interleukinー1βーand tumor necrosis factor αーmediated suppression of heparinーlike compounds on cultured porcine aortic endothelial cells." Journal of Cellular Physiology. 144. 383-390 (1990)
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[Publications] 島田 和幸: "血管壁グリコサミノグリカンと血栓" 日本血栓止血学会誌. 1. 73-83 (1990)
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[Publications] 島田 和幸: "血管内皮細胞の抗凝固性とヘパリン様物質" 臨床病理. 86. 116-123 (1990)
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[Publications] Shimada K,Kobayashi M,Ozawa T,et al.: "Anticoagulant Heparinーlike Glycosaminoglycans on Endothelial Cell Surface" Japanese Circulation Journal. 55. 1016-1021 (1991)
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[Publications] Takeuchi K,Shimada K,Nishinaga M,Kimura S,Ozawa T.: "Localization of Heparinーlike Compounds in Cultured Aortic Endothelial Cells." Haemostasis and Circulation.
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[Publications] Kobayashi M,Shimada K,Ozawa T.: "Human PlateletーDerived Transforming Growth Factorーβ Stimulates Synthesis of Glycosaminoglycans in Cultured Porcine Aortic Endothelial Cells." Gerontology.
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[Publications] 折茂 肇 編,島田 和幸: "血管壁細胞の機能とその制御機構" 共立出版社, 181 (1990)
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[Publications] 住吉 昭信,斉藤 康 編,島田 和幸: "動脈硬化発生・進展の解明" 共立出版社, 157 (1991)