1990 Fiscal Year Annual Research Report
内皮細胞由来収縮因子エンドセリンによる血管収縮の細胞内分子機序に関する研究
Project/Area Number |
02670399
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 博道 九州大学, 医学部, 助手 (20166820)
|
Keywords | エンドセリン / 血管収縮 / 細胞質カルシウムイオン濃度 / カルシウム感受性蛍光色素 / 細胞内貯蔵カルシウム / カルシウム動員 |
Research Abstract |
1細胞質Ca^<2+>濃度・張力同時測定法による検討。Ca^<2+>感受性蛍光色素(furaー2)を取り込ませた豚冠動脈微小条片の表面蛍光連続測光法により、細胞質Ca^<2+>濃度を測定し、同時に等尺性張力を測定した。外液Ca^<2+>存在下、エンドテリンーI(ETー1)を投与すると、細胞質Ca^<2+>濃度と張力は速やかに増加し一定のレベルを維持した。この反応は用量依存性であり、ED50は、各々、0.32nM(細胞質Ca^<2+>濃度)と0.60nM(張力)であった。この収縮はETー1を洗い除いたのちも持続した。118mMK^+脱分極刺激による蛍光強度と張力の増加分を100%とした時、0.1μMのETー1投与時の蛍光強度と張力は、各々、90%(740nM)と125%であった。無Ca^<2+>液(2mM EGTA)中では、ETー1は細胞質Ca^<2+>濃度と張力の一過性増加を引き起こした。ピ-ク値はいずれも用量依存性であり、ED50は6nM(細胞質Ca^<2+>濃度)と9nM(張力)であった。0.1μMのETー1投与時の蛍光強度と張力のピ-ク値は、外液Ca^<2+>存在下の値を100%とした時、各々58%(430nM)と105%であった。無Ca^<2+>液中でカフェイン(20mM)感受性およびヒスタミン(10μM)感受性の細胞内貯臓Ca^<2+>を枯渇させた後、ETー1を投与すると、一過性だが用量依存性の収縮が誘発された。この時、細胞質Ca^<2+>濃度は全く増加しなかった。0.1μMのETー1投与により28%の収縮を認めた。従ってETー1による収縮は、低濃度(1nM以下)では主に外液Ca^<2+>依存性であり、より高濃度では細胞内貯蔵Ca^<2+>の放出と細胞質Ca^<2+>濃度増加を伴わない収縮の関与も加わることが明きらかとなった。 2初代培養平滑筋細胞において ^<45>Ca^<2+>、 ^<22>Na^+フラックス法を用いて検討した。ETー1は、外液Ca^<2+>の有無にかかわらず、用量依存性に ^<45>Ca^<2+>effluxを増加させたが、 ^<45>Ca^<2+>influxは全く増加させなかった。 ^<22>Na^+influxについは一定の結論を得るに至らなかった。
|
-
[Publications] Hisashi Kai: "Endothelin and vasoconstriction" Regulation of Coronary Blood Flow. (1991)
-
[Publications] Hiromichi Yamamoto: "Dextran sulfate inhibits the inositol 1,4,5ーTrisーphosphateーinduced Ca^<2+> release from skinned and cultured smooth muscle cells" European Journal of Pharmacology ーMolecular Pharmacology Section. (1991)