1991 Fiscal Year Annual Research Report
IgA腎症患者血清中のフィブロネクチン結合IgAの分析及び培養腎細胞機能への影響
Project/Area Number |
02670422
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
和賀 忍 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (10167744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿崎 良樹 弘前大学, 医学部, 助手 (40160973)
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Keywords | IgA腎症 / IgAーフィブロネクチン複合体 |
Research Abstract |
平成2年度の検討は実験系の確認および小児IgA腎症討患者血清を用いたスクリ-ニングの開始であった.また測定における間題点は溶血による測定値への影響であった.これらを踏まえ平成3年度においては検討症例数を増やし血清IgAーフィブロネクチン複合体の測定を行ない対照として小児他疾患における測定も加えた.さらに同一症例で治療経過による測定値の変遷を検討しえた症例も経験した.測定系は前年度で述べたように,変性collagen Iで処理したマイクロタイタ-プレ-トに患者20x希釈血清を加え,一定時間孵置した後,結合したIgAーフィブロネクチン複合体を,アルカリフォスファタ-ゼ標識抗ヒトIgA抗体と反応させ吸光度405nmで測定した.1)IgAーフィブロネクチン複合体測定における溶血の影響.5例のIgA腎症患者において採血後凍結処理により溶血せしめた血清と,非溶血血清を用いて測定値の比較を行なったが有意な差は認めなかった.2)IgA腎症以外の小児疾患を対照としたIgA腎症におけるIgAーフィブロネクチン複合体の測定.小児IgA腎症患者46例(64検体),溶連菌感染後急性糸球体腎炎急性期血清1例,紫斑病性腎炎9例,若年性関節リウマチ5例,ル-プス腎炎4例の凍結保存血清について検討した.IgA腎症患児血清64検体中33検体(52%)で,正常者mean+SD値以上の値を示した.紫斑病性腎炎患児でも9例中4例で高値であった.若年性関節リウマチ(活動期)患者においても5例中3例で高値を示した.これらから血清IgAーフィブロネクチン複合体の検出は他のpolyclonal activationが基本となる疾患およびIgA腎症類似疾患である紫斑病性腎炎においても認められることがわかった.3)同一症例での治療経過とIgAーフィブロネクチン複合体測定値の推移.経過を追って測定しえた5症例のIgA腎症例で,尿所見軽快と共に測定値の低下傾向が観察された. この間分析機器購入が整備されつつあり,今後当初の目的であるフィブロネクチン結合IgAの性状の検討,培養腎細胞機能への影響について検討を進めたい.
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