1990 Fiscal Year Annual Research Report
糖リン酸・糖アルコ-ル・糖酸の一斉分析法の確立と糖代謝異常症の病態研究への応用
Project/Area Number |
02670430
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
重松 陽介 福井医科大学, 医学部, 講師 (80162593)
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Keywords | 糖リン酸 / 糖代謝異常 |
Research Abstract |
糖リン酸のガスクロマト質量分析計による分析に関して、誘導体調整条件、ガスクロマトグラフィ-条件、定量性の有無などの検討を行ったところ、2リン酸などについて定量性に不十分な点が見られたものの、その他の糖リン酸については分析が可能であったので、フルクト-スー1,6ージフォスファタ-ゼ欠損症患者の試料で糖リン酸を種々検討し、第33回日本先天代謝異常学会総会で発表した。 即ち、本症の発作時尿に、よく知られたglycerolだけでなく、glycerolー3ーphosphate,2ーphosphoglycerate,3ーphosphoglycerat,fructoseー1,6ーdiphosphateの異常排泄が認められたが、fructoseー1ーphosphateは同定出来なかった。glycerolー3ーphosphateはガラクト-ス負荷時尿にても認められたが、fructoseー1,6ーdiphosphateは認められなかった。これらの糖リン酸の尿中排泄は、本症における代謝経路の異常をよく反映しており、診断上重要な所見と考えられる。ただし、他の糖代謝異常症で類似の尿中糖リン酸排泄が見られるかどうかは、今後検討する必要がある。糖リン酸は誘導体化に対してかなり不安定であり、このガスクロマトグラフィ-では定量性に限界があるので、今後HPLC法などを用いた測定法が必要と考えられる。このHPLC法でも、糖の分析においては微量分析は困難があり、質量分析計との結合などを検討している。この場合、質量分析計での糖リン酸のイオン化法が重要であることが明らかとなった。即ち、LC/FAB/MSでは、イオン化効率が充分でなく、かなりの高濃度の糖リン酸でないと、検出されなかった。今後、その他のイオン化法も検討する予定である。 糖アルコ-ルおよび糖酸のGC/MSによる一斉微量定量法については、充分な感度と定量性を確立し、体液中の濃度について、正常値の検討と各種疾患での変動を検討中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 中井 昭夫: "Fructoseー1,6ーdiphosphatase欠損症の姉妹例" 日本小児科学会雑誌.
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[Publications] Akio Nakai: "Sugar phosphates and related organic acids in the urine of fructoseー1,6ーdiphosphatase deficiency" Journal of Inherited Metabolic Disease.