1990 Fiscal Year Annual Research Report
脳組織移植による銅代謝異常マウス脳障害の発生機序に関する研究。
Project/Area Number |
02670436
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
山野 恒一 滋賀医科大学, 医学部・小児科, 講師 (20093172)
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Keywords | メンケス病 / macular マウス / 銅代謝異常 / 脳移植 / ミトコンドリア異常症 |
Research Abstract |
[目的] Menkes kinky hair 症のモデル動物であるMacular mouse のhemizygoteは白毛で生後10日目頃から,失調,けいれん,体重減少を示し,生後15日前後に死亡する。このマウス脳では,銅含有量が低下し,生後7日目頃から神経細胞の成熟が遅れ,その内に異常ミトコンドリアが出現し,チトクロムCオキシタ-ゼ(CCO)活性が低下する。このような病理所見を有する脳組織を日令2日目の正常マウス脳に移植し,これらの病理所見が改善するか否かを明らかにすることが本研究の目的である。 [方法] 出生時のhemizygoteの小脳を日令2日目の正常マウス大脳に移植を試み,生着したものについて,生後7日,10日,14日目に移植片の病理学的について検討した。出生時のhemizygoteの同定はその大脳の銅含有量の測定によっておこなった。 [結果] 小脳Purkinje細胞の樹状化は遅れ,そのCCO活性も対照群に比し低下した。また,Purkinje細胞内にはクリステの少ない明るく腫大した異常ミトコンドリアが観察された。 [結論] hemizygoteの移植片にみられる病理所見は,正常マウス脳内では消失していなかった。このことは,(1)移植片が宿主側から十分な銅と血流が与えられなったためか,それとも(2)hemizygoteの病理所見が二次的に銅の減少のみに起因するのではなくて,移植片を構成する細胞の遺伝子に起因した変化である可能性もある。これを明らかにするためになお本研究を続けたい。
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