1991 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍細胞上における外因系凝固の活性化の機序についての研究
Project/Area Number |
02670457
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
阪井 利幸 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (10175359)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 章 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (40106498)
|
Keywords | 腫瘍細胞 / Factor VII / Factor VIIa / 組織因子 |
Research Abstract |
1.平成2年度までの研究にてVII、VIIaのJ82細胞への結合は特異的,濃度依存的、Ca依存的であるが判明し、結合したVII,VIIaの機能をX因子の活性化反応でみるとXa生成のhalfーmaximal pointはVII,VIIaそれぞれ3.7nM,3.2nMと結合能のパラメ-タ-とよく相関した。しかしVII,VIIa自体の凝固活性はVIIaの方がVIIより約20〜30倍強いとされていてJ82に結合したVII,VIIaがほぼ同様の活性を示すことに疑問が生じた。そこでJ82上の組織因子(TF)に結合したTIIがなんらかの修飾を受けたのではないかと考え、結合した ^<125>JーVIIをEDTAではずしSDSーPAGE後.オ-トラジオグラフィ-にて観察した。結果は経時的にVIIはJ82細胞上で活性化されていた。この活性化は拡TF因子IgGで阻害されるものの、拡プロトロンビン,抗IX因子、抗X因子、抗XII因子IgGでは阻害されなかったことからこの活性化はVII自身のautocatalysis,または腫瘍細胞由来の特有なプロテア-ゼによるものかが考えられ、これからの検討を要する。以上の事からこの腫瘍細胞上でのVII因子の活性化はそれが細胞表面のTFに結合することが不可欠であると考えられた。 2.Serum freeで培養したCOLO205(大腸腺癌),HepG2(肝細胞癌),J82(膀胱癌)、CAPANー2(膵腺癌)、各細胞10^6個存在下にXa因子,プロトロンビン、Caを加え経時的にトロンビン生成量を測定したところ腫瘍細胞非存在下に比し、各腫瘍細胞は強さに差(COLO205>HepG2>J82>CAPANー2)はあるものの明らかにプロトロンビンの活性化を増強させた。これらは腫瘍細胞はその表面で容易にprothrombinase complexを形成し、細胞はその活性化を増強させるような反応の“場"を提供していると考えられた。
|