1991 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト赤芽球の増殖・分化の位相差顕微鏡映画による研究
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02670458
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Research Institution | Dokkyo University School of Medicine |
Principal Investigator |
古川 利温 獨協医科大学, 医学部, 教授 (70049154)
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Keywords | ヒト赤芽球 / 位相差顕微鏡映画 / 世代時間 / congenital dyserythropoietic anemia |
Research Abstract |
1.ヒト臍帯血由来の赤芽球についての研究 昨年度に引き続き、増殖・分化の観察を重ね、次のような結果を得た。 (1) 細胞伸展が赤芽球に与える影響 予備実験によって細胞伸展は、赤芽球の増殖・分化に著しい影響を与えないことが示されていたが、細胞伸展の有無による世代時間、増殖能の差はないことが、さらに実験を重ねることによって確かめられた。 (2) 赤芽球の分化の指標 ヒト赤芽球の分化段階の指標としては、Soret band光線による撮影で映像化される細胞質のヘモグロビン量の定性的評価が、最も特異的であるが、分裂直前および直後の細胞の大きさも指標となり得ること、赤芽球の最終世代においては、さらに運動の活発さ、脱核が指標となることが示された。 2.Congenital dyserythropoietic anemia type III(CDA III)赤芽球の形 態異常の発現過程についての検討 前年度に認めた最終分裂後の多核分葉の顕化をさらに研究し、これが、最終世代の1つ前の世代の赤芽球が増殖相の途中で停止し、核の分葉化が、さらに前の世代の赤芽球の核に時期尚早にはじまる部分的なpycnosis様の過程による核の区域化に伴なって進行すると推測される画像を得た。さらに、これに伴なって細胞質ヘモグロモビン量の増加、細胞の運動の活発化などの最終世代の赤芽球にみられる分化が発現することが観察された。核の区域化による硬さの不均一と細胞運動の激化が相伴なって核分葉化に関与している可能性が考えられた。3極分裂後の融合、有糸分裂後の融合などの現象とこのpycnosis様の異常の関連については、今後の検討が必要である。
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