1990 Fiscal Year Annual Research Report
小児における各種抗てんかん薬の体内動態とその代謝産物の血中濃度測定の臨床的意義
Project/Area Number |
02670459
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
三浦 寿男 北里大学, 医学部, 教授 (60050465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細田 のぞみ 北里大学, 医学部, 助手 (80199504)
砂押 渉 北里大学, 医学部, 助手 (20171283)
白井 宏幸 北里大学, 医学部, 講師 (10154353)
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Keywords | 抗てんかん薬 / 薬物体内動態 / 薬物間相互作用 / カルバマゼピン / カルバマゼピン代謝物 / バルプロ酸ナトリウム |
Research Abstract |
1.Carbamazepine(CBZ)には主要代謝経路の第一次代謝物としてepoxy化合物、すなわちcarbamazepineー10、11ーepoxide(CBZーE)が知られているが、CBZにsodium valproate(VPA)を併用すると、このCBZーEの血中濃度が上昇する。CBZーEは薬理学的に活性で、抗てんかん作用は明らかではないが、眠気、ふらつきなどの中毒症状の発現に関与すると思われる。年令構成の等しいCBZ単剤投与の患児123例とVPAとの2剤併用の症例35例のCBZならびにCBZーEの血中濃度を比較すると、CBZの投与量とCBZ血中濃度は両群まったく同一であるが、CBZーE血中濃度ならびにCBZーE/CBZ血中濃度比はVPAとの併用群が有意に高値である。 2.このCBZにVPAを併用するとCBZーEの血中濃度が上昇する秩序を明らかにするために、新たにCBZ単剤投与の症例71例(平均年令9才)ならびにCBZとVPAの2剤併用例26例(平均12才)を対象に、CBZーEに次ぐ第二次代謝物10,11ーdihydroxycarbamazepine(CBZーH)の血中濃度を測定した。その結果、VPAとの併用群では、CBZ単剤投与群に比べ、CBZーH/CBZーE血中濃度比が有意に低値で、CBZにVPAを併用すると、CBZーEからCBZーHへの代謝が抑制されることが明らかになった。 3.さらに、VPAはCBZならびにCBZーEと蛋白結合部位で拮抗し、CBZにVPAを併用すると総血中濃度に対する遊離型のCBZならびにCBZーE血中濃度の比率が増す。それぞれの平均年令が11才と9才のCBZ単剤投与の症例131例、CBZとVPAの2剤併用例35例のCBZならびにCBZーEの総血中濃度に対する遊離型血中濃度の比較をみると、CBZ単剤投与の症例では、CBZは20、CRZーEは40%前後が遊離型として存在する。しかし、VPAとの2剤併用群では、CBZならぴにCBZーEの遊離型血中濃度の比較が有意に高く、とくに遊離型CBZーE血中濃度が1.5μg/mlを超えると、これに由来する眠気、ふらつきなどの中毒症状が出現する可能性がある。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 砂押 渉: "carbamazepineの体内動態と10,11ーdihydroxycarbamazepineの血中濃度測定(予報)" 発達薬理・薬物治療研究会雑誌. 3. 28-29 (1990)
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[Publications] 砂押 渉: "小児におけるcarbamazepineの体内動態と第二次代謝物10,11ーdihydroxycarbamazepineの血中濃度測定の試み" TDM研究. 7. 129-131 (1990)
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[Publications] 砂押 渉: "carbamazepineの体内動生と第二次代謝物10,11ーdihydroxycarbamazepineの血中濃度測定ー年令によるcarbamazepine代謝速度の変化ー" 北里医学. 21. (1991)
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[Publications] Sunaoshi,W.: "Influence of concurrent administration of sodium valproate on the plasma concentrations of carbamazepine and its expoxide and diol metabalites" Jpn.J.Psychiatr.Neurol. 45. (1991)