1991 Fiscal Year Annual Research Report
先天性重金属代謝異常の成因に関する研究ーとくにWilson病の成因ー
Project/Area Number |
02670466
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
青木 継稔 東邦大学, 医学部・小児科学, 教授 (50057585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
風間 浩美 東邦大学, 医学部,小児科学, 助手 (90224386)
二瓶 浩一 東邦大学, 医学部,小児科学, 助手 (20218241)
舘野 昭彦 東邦大学, 医学部,小児科学, 講師 (70163491)
嶋武 博之 東邦大学, 医学部,分子生物学, 教授 (40010110)
内山 利満 東邦大学, 医学部,薬理学, 教授 (50057709)
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Keywords | Wilson病 / 胆汁中銅排泄低下 / セルロプラスミン合成 / Dーpenicillamine / 塩酸トリエチレン / LongーEvans Cinnamonラット / キレ-ト効果 / NMR法 |
Research Abstract |
先天性重金属代謝異常の代表的疾患であるWilson病の成因解明の研究を実施した。平成2年度において、発症前Wilson病患者および発症Wilson病患者のいずれにおいても胆汁中鈍排泄幹著しく低値であることを報告し胆汁酸代謝については、Wilson病患者に進行した肝硬変による二次的変化であり、発症前Wilson病患者の肝硬変の成立していない時期においては、血清および胆汁酸15分画には全く異常を認めなかったため、本症においては胆汁酸代謝の異常のないことを結論した。 平成3年度の研究結果をまとめると以下のごとくである。 (1)Wilson病患者の肝組織における銅沈着は肝細胞全般に及んでいたがライソソ-ムの異常蓄積を認めた。 (2)Wilson病に対する経口キレ-ト剤について、NMR(nuclear magnetic resonacce)法を用いて2n vitroではあるが、その銅に対するキレ-ト効果は、Dーpenicillamine≫塩酸トリエンチンであった。Wilson病に対する尿中銅排泄効果は、Dーpenicillamineおよび塩酸トリエンチンのいずれにおいても著明であった。塩酸トリエンチンのラットにおける薬理学的安全性を検討し、その安全性を確立した。 (3)Wilson病患者および発症前Wilson病患者の血清セルロプラスミン値は著しく低値を示した。3歳幼児の本症3例においても同様であり、本症は先天性にセルロプラスミン生成の阻害を示唆した。 (4)LongーEvans Cinnamonラットは、PPD oxidase法による低セルロプラスミン血、尿中銅排泄過多および著明な肝銅含量の増加を認め、Wilson病モデル動物になり得る世界で始めて見出した。本ラットのセルロプラスミンは、アポ型からホロ型への変換障害があることを見出し、Wilson病の成因と同様な機序による肝銅蓄積を示唆した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 青木 継稔,山口 え利,原 まどか、舘野 昭彦 他: "Wilson病の新しい動物モデルーLECラットにおけるセルハプラスミンおよび銅代謝に関する研究" 医学のあゆみ. 156(7). 495-496 (1991)
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[Publications] 加藤 済仁: "Wilson病のおける胆汁中への銅排泄ーWilson病の成因に関する研究ー" 日本小児科学会雑誌. 95(4). 847-854 (1991)
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[Publications] 青木 継稔,風間 浩美,斎藤 洋子: "Wilson病" Clinical Neuroscience. 9(11). 1219-1221 (1991)
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[Publications] 青木 継稔,原 まどか,鈴木 真理子 他: "Wilson病患者の全国追跡調査成績" 小児内科. 23(12). 1893-1898 (1991)
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[Publications] 青木 継稔,原 まどか,山口 之利 他: "Wilson病患者長期管理上の問題点" 小児科. 33(1). 11-21 (1992)
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[Publications] Yamaguchi,Y.: "Triethyleneteramine therapy for Dーpenicillamine intolerant patients with Wilson's disease." J.Med.Societ.Toho.38(5). 756-772 (1992)
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[Publications] 青木 継稔,嶋武 博之,内山 利満 他: "小児科学" Wilson病と微量元素ーとくに銅代謝ー,
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[Publications] Sato,M.,Aoki,T.,Shimatake,H.el al: Impaired holoceruloplasmin production in hepatocytes from LongーEvans Cinnamon rats.,