1990 Fiscal Year Annual Research Report
疎毛症キメラマウス作成によるマウス脱毛症の形態学的,電顕的解析
Project/Area Number |
02670472
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
諸橋 正昭 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (50018719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 省三 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (30126528)
荻田 善一 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 教授 (40109111)
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Keywords | 脱毛 / 疎毛症マウス / ヘアレスマウス / キメラマウス / 抗ヒトケラチン抗体 / 電顕 |
Research Abstract |
研究分担者が開発した疎毛症マウスは,まだその脱毛の機序に関して詳細な検討はなされていない。今回はその組織学的,電顕的,免疫組織化学的研究を行った。次に被毛が白い疎毛症マウスと被毛が黒い正常マウスを用いてキメラマウスを作成し,疎毛症マウスとの相違点についても同様に検討を加えた。(1)疎毛症マウス:疎毛症マウスでは,5週齢で組織学的,電顕的には毛管の開大や外毛根鞘の菲薄化がみられ,さらに嚢腫が形成されてくる。しかし,正常な毛包も散在性に不規則に混在して観察される。ヘアレスマウスの脱毛の機序は,内毛根鞘に変化が生じて脱毛が惹起されるとされており,我々の疎毛症マウスの脱毛の機序とは異なることが組織学的に確認できた。また,疎毛症マウスの毛上嚢皮細胞のケラチンパタ-ンの相違を,市販の抗ヒトケラチン単クロ-ン抗体を用い免疫組織化学的に検討した。これら抗体に対する反応性はヒトに比べ疎毛症マウスでは毛嚢上皮に対する反応性は弱いが,基本的にはヒトと同様の反応パタ-ンを示す傾向にあった。(2)キメラマウス:疎毛症マウスとC57BL/6マウスを用いて,キメラマウスの作成に成功し,その経時的な肉眼的変化について1990年度の人類遺伝学会(福井)で発表した。4週齢で白い被毛の一部に黒い被毛が混在することによりこのマウスがキメラであることが確認できた。その後,白い被毛部では脱毛はかなり進むが,黒い被毛に接した部分の白い被毛部には脱毛は認められなかった。2ヵ月齢で脱毛のみられる部位では,基本的には疎毛症マウスに認められたと同様の組織学的変化が認められた。以上の所見から,キメラマウスでは脱毛の機序は疎毛症マウスと同様であったが,脱毛の開始時期の遅延や黒い被毛に近接する部位では脱毛が見られなかったことは,C57BL/6由来の細胞が毛包に対して何らかの影響を及ぼしていると考えられる。この点に関してはさらに検討を加えていく予定である。
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