1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02670484
|
Research Institution | Sapporo Medical College |
Principal Investigator |
嵯峨 賢次 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10153925)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 弘晃 札幌医科大学, 医学部, 助手 (90223643)
|
Keywords | 基底細胞癌 / ボーエン病 / bromodeoxyuridine / DNA labeling index / flow cytometry / Ag NOR |
Research Abstract |
本研究では皮膚悪性腫瘍における腫瘍細胞の細胞動態と各種の臨床的パラメーターとの関係を明らかにすることを目的とした。 皮膚腫瘍におけるS期細胞の分布をbromodeoxyuridineを用いてin vitroで検討した。S期細胞の分布とlabeling indexを悪性皮膚腫瘍、良性皮膚腫瘍、良性増殖性皮膚疾患について検討した。Labeling indexは一般に悪性疾患では高く、良性疾患では低かった。S期細胞の分布は、全体として良性疾患ではgeminative cell layerに限局して存在したのに対して悪性疾患ではgeminative cell layerとは無関係に分布していた。しかし、labeling indexあるいはlabeling pattern単独では必ずしも臨床的悪性度とは相関していなかったが、高いlabeling indexとlabeling patternの乱れを併せもつことは悪性疾患の特徴と考えられた(BrJDermatol125:9-13,1991)。 主として、悪性黒色腫と扁平上皮癌についてflow cytometryを行った。両腫瘍とも進行した原発巣や転移巣においてDNA aneuploidyが観察される傾向があった。又、Bowen病等の表皮内癌ではDNA aneuploidyは全く観察されなかった。しかしこれは必ずしも腫瘍細胞にDNA aneuploidyが無いということを意味するものではなく、腫瘍細胞の数が少なく正常細胞のDNA patternにaneuploid patternが隠されたためとも考えられる。 核のribosomal RNA転写部位の酸性蛋白質を染めるAgNOR染色を悪性黒色腫と基底細胞上皮腫について行った。染色顆粒の数は色素性母斑や正常表皮に対して有意に高かった。正常表皮や色素性母斑ではAgNORの数は1-2個であったのに対して、基底細胞上皮腫や悪性黒色腫では4個以上に増加していた。また、正常表皮では基底層から角質層へと分化が進むにしたがって、AgNORの数は減少した。それに対して、基底細胞上皮腫や悪性黒色腫では一様にAgNORの数が増加していた。これらの結果はAgNOR染色が良性と悪性を鑑別する有用な方法となりうることを示唆している(第301回日本皮膚科学会北海道地方会)。
|
-
[Publications] Morimoto Y: "In vitro DNA synthesis of Keratinocytes in normal human skin psoviasis seborrheic keratosis,Bowen's disease and basal cill carcinoma." Br J Dermatol. 125. 9-13 (1991)
-
[Publications] 江口 弘晃: "Xeroderma pigmentosum (variant type)の1例" 臨皮. 45. 897-901 (1991)
-
[Publications] 大石 雅樹: "悪性血管内皮細胞腫の1例" 皮膚臨床. 33. 1431-1436 (1991)
-
[Publications] 田中 智: "^<32>Pアイソトープ外面照射療法による血管腫治療部位に発生した基底細胞上皮腫の1例" 臨皮. 46. 947-950 (1992)
-
[Publications] 斉藤 和哉: "熱傷瘢痕上に発生した悪性黒色腫の1例" SKin Cancer. 7. 180-183 (1992)
-
[Publications] 森元 洋介: "正常皮膚および上皮性皮膚疾患におけるS期細胞の同定" Skin Cancer. 7. 270-275 (1992)