1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02670502
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中村 健治 大阪市立大学, 医学部・放射線医学, 講師 (00145781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福森 義信 神戸学院大学, 薬学部, 助教授 (60102927)
水口 和夫 大阪市立大学, 医学部・放射線医学, 助教授 (50145794)
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Keywords | 抗癌剤封入マイクロカプセル / 肝癌 / 動注療法 |
Research Abstract |
本年度の研究目的は実験動物を用いてin vivoでの封入薬剤徐放性、マイクロカプセルの安全性を検討することであった。これに従い以下の実験的検討を行った。 1.in vivoでの薬剤徐放性についての検討:[方法]実験動物(家兎)の総腸骨動脈内にadriamycin(ADM)含有マイクロカプセルを注入し、下大静脈内の血中ADM濃度を経時的に測定した。[結果]マイクロカプセル注入群の血中ADM濃度は対照群(ADM溶液注入群)に比べ徐放性パタ-ンを示した。また、2種類の膜厚のマイクロカプセルで比較したところ膜厚の大きなもののほうがより徐放性に富んでいた。 2.マイクロカプセルの安全性についての検討:[方法]実験動物(家兎)の腎動脈内にマイクロカプセルの投与条件(膜厚、量、回数)を変えて注入し、注入腎及び他臓器に与える影響を経時的に検討した。[結果]マイクロカプセル少量(2mg)1回注入群では注入腎の動脈造影像、摘出組織にほとんど変化はみられず、対照群とした非消失型マイクロカプセル注入群に比べ、非常に軽微であった。1回注入量が増加すると動脈造影像で一過性の血流遅延がみられ、組織には亜梗塞巣が出現した。これは膜厚が大きい程その傾向は強かった。少量頻回注入群は少量1回注入群と同様血管、組織に与える変化はほとんどなく、総量を1回で注入した群に比べ、非常に軽微であった。他臓器の摘出組織、血液生化学検査には変化はみられなかった。 以上の成績より本マイクロカプセルはin vivoにおいても薬剤徐放性を有し、その程度は膜厚を変えることでコントロ-ルが可能であること、安全性については適切な注入量を用いれば注入臓器や他臓器に障害を与えず安全に頻回投与も可能であること、がわかった。
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