1990 Fiscal Year Annual Research Report
開瞼時・閉瞼時眼球運動を用いた精神分裂病の診断に関する研究
Project/Area Number |
02670511
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小島 卓也 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (40014203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 善朗 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (20213663)
松浦 雅人 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (60134673)
渥美 義賢 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (90143552)
島薗 安雄 (財)神経研究所, 所長 (10013806)
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Keywords | 探索的眼球運動 / 閉瞼時眼球運動 / 精神分裂病患者 / 判別分析 / 反応的探索スコア / 遅い眼球運動 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、アイマ-ク・レコ-ダ-を用いて精神分裂病患者の開瞼時の探索的眼球運動を調べ、正常者のそれと比べて、運動数が少なく移動距離が短いこと、再認の課題を与えた時に得られた反応的探索行動(『反応的探索スコア』)が分裂病の病態と密接に関連していることなどを明らかにしてきた、さらに、これらの探索的眼球運動の指標を用いて、分裂病患者と非精神分裂者(覚醒剤患者、てんかん患者、うつ病患者、アルコ-ル精神病患者、強迫神経症患者、正常者)との間で判別分析を行ったが、感受性が75.0%、特異性が81.0%と比較的高率の正判別率で分裂病を判別することができた。一方、我々は閉瞼時の眼球運動についても検討し、正常者に比べて分裂病患者では、安静覚醒時に小さく速い動き(rタイプ)が高頻度に出現し、遅い動き(sタイプ)が少ないことを観察している。 そこで今回、分裂病患者35名、非分裂病者45名(正常者32名、うつ病患者13名)を対象として、開瞼時の探索的眼球運動および閉瞼時の眼球運動を測定し、これらの指標を変数として判別分析を試みた。その結果、分裂病患者を分裂病と判別し得た判別率(感受性)は91.4%、非分裂病者を非分裂病と判別し得た判別率(特異性)は86.7%であった。非分裂病者の内訳は正常者84.4%、うつ病92.3%であった。また、判別に有効な変数として、開瞼時の反応的探索スコア、閉瞼時の遅い動き(sタイプ)が選ばれ、特にF値から、反応的探索スコアが判別に中心的役割を果たしていることがわかった。さらに、対象をそれぞれ無作為に半数ずつに分けて、それぞれで判別分析を行ない妥当性の検討も行なったが、いずれも高い判別率であった。このように開瞼時の探索的眼球運動ばかりでなく、閉瞼時の眼球運動も合わせることによって、眼球運動による精神分裂病の判別がより一層実用可能なものとなると考えられた。
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[Publications] 小島 卓也: "精神分裂病のマ-カ-としての眼球運動" 精神医学. 32. 583-590 (1990)
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[Publications] Takuya Kojima: "Eye Movements in Acute,Chronic,and Remitted Schizophrenics" Biological Psychiatry. 27. 975-989 (1990)
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[Publications] 小島 卓也: "精神分裂病患者の視覚性探索行動:覚醒水準との関連" 医学のあゆみ. 152. 501 (1990)
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[Publications] 宮坂 松衛: "精神分裂病患者の眼球運動に及ぼす薬物の影響" 精神薬療基金研究年報. 21. 257-263 (1990)
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[Publications] Kazunori Makajima: "Eye Movements as a Marker for Schizophrenia" 17th Congress of Collegium Internationale NeuroーPsychopharmacologicum Abstracts Vol.II. 237 (1990)
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[Publications] 小島 卓也: "精神分裂病ー基礎と臨床ー" 朝倉書店, 766 (1990)