1990 Fiscal Year Annual Research Report
けいれん準備状態及びけいれん発作発現に果たすプロテインキナ-ゼCの役割
Project/Area Number |
02670518
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
熊代 永 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (00045593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 則夫 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (00174376)
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Keywords | プロテインキナ-ゼC / けいれん準備状態 / キンドリング / 扁桃核 / 海馬 |
Research Abstract |
脳のある部位に微小な電気刺激を反復して加えると、最初は軽微な反応に留まっていたものが、やがて全身けいれんを呈するようになる(キンドリング現象)。キンドリングモデルでは、一旦獲得したけいれん準備状態はほぼ永続的である。この意味で、キンドリングモデルはヒトのてんかんに最も近似するてんかんモデルとされている。一方、protein kinase C (PKC)は細胞内情報伝達機構に与り、神経細胞の興奮あるいは脱分極に重要な役割を演じていると考えられている。そこで、本研究は、けいれん準備状態とPKCの関連性をみる目的で、ラットを用い、扁桃核キンドリンク完成から30日後の扁桃核と海馬のPKC活性を測定した 。Wistar系雄性ラットを無処置群、偽手術群、キンドリング群の3群に分けた。無処置群には何の処置も施さず、偽手術群とキンドリング群には左側扁桃核に深部電極を留置した。キンドリング群には左側扁桃核に電気刺激を加えてドリングを作成したが、偽手術群には電気刺激を加えなかった。キンドリング完成後30日目に、動物を断頭し、左右の扁桃核と海馬を取り出し、細胞質分画と細胞膜分画のPKC活性を測定した。 その結果、左右の扁桃核及び海馬の細胞質分画と細胞膜分画のPKC活性には、キンドリング群、偽手術群、無処置群の間での有意な変化は認められなかった。 本研究の結果は、扁桃核キンドリングは扁桃核と海馬のPKC活性には永続的な変化を及ぼさないことを示している。従って、辺縁系のPKCは、けいれん準備状態に積極的な役割を担っているとは考えがたい。しかし、このことは、直ちに扁桃核キンドリングに果たすRKCの応役を否定するものではない。なぜなら、今後の検討により、けいれん直後の変化や、各個の細胞における変化の存在が明らかにされる可能性があるからである。
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Research Products
(1 results)