1991 Fiscal Year Annual Research Report
側頭葉てんかんにおける聴覚と視覚の認知機能について
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02670519
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Research Institution | Fukushima Medical College |
Principal Investigator |
管 るみ子 福島県立医科大学, 医学部・神経精神科, 助手 (20192007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊代 永 福島県立医科大学, 医学部・神経精神科, 教授 (00045593)
八島 祐子 福島県精神保健センター, 所長 (10045619)
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Keywords | 側頭葉てんかん / アイマ-クレコ-ダ- / 視覚情報処理機構 / WAIS成人知能検査 / 停留点 / 探索課題 / 眼球運動 |
Research Abstract |
(目的)側頭葉てんかん患者では,発作の抑制とともに,発作間歇期における高次大脳機能障害が注目されている。本研究では,側頭葉てんかん患者の視覚情報処理機構をアイマ-クレコ-ダ-を用いて解析し,正常対照者と比較検討した。 (対象)福島医大病院神経精神科に通院している側頭葉てんかん患者10名(平均年齢29.2歳)と正常対照者7名(平均年齢26.4歳)を対象とした。患者は,X線CT上,脳内に器質的病変の認められない者で,被験者はすべて,右利きのみを採用した。 (方法)WAIS成人知能検査の「絵画完成」の「たきぎの山」の図をスライドにしたものを呈示した。呈示時間は,最高20秒間であった。呈示する前に,検者は,「これから,ある絵を見てもらいます。その絵の中には1個所だけ欠けているところがあります。見つけたら,すぐに目を閉じて下さい。できるだけ早く見つけて下さい」と指示した。そして,スライドを見ている際の眼球運動をアイマ-クレコ-ダ-で記録し,停留点について解析した。 (結果)1)側頭葉てんかん群(以下,TLE群)では,正解者数は10名中1名で正常対照者の7名中4名に比べて,有意に低かった(P<0.05)。2)TLE群では,欠けている個所を見つけるまでの時間(反応時間と称する)は,20秒で,正常対照者の7.8秒に比べて,有意に長かった(P<0.01)3)TLE群では,欠けている個所を見つけるまでの停留点数(反応停留点数と称す)は,30.8個で,正常対照者の9.9個に比べて有意に多かった(P<0.01)4)反応停留点数/反応時間は,両群で有意な差を認めなかった。 (結語)側頭葉てんかんでは,探索課題で,反応時間が遅延し,停留点が多いのにもかかわらず,適切な課題解決が認められなかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 八島 祐子: "Landauーkleffner症候群(てんかん・失語症候群)" 音声言語医学. 30. 205-211 (1989)
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[Publications] 管 るみ子: "Epileptic patients demonstrating echographia during interictal state" The Japanese Journal of Psychiatry and Neurology. 44. 404-409 (1990)
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[Publications] 熊代 永: "思春期における抑うつ状態の大脳半球優位性についてー両耳分離能検査による検討ー" 児童思春期における行動,情緒障害の成因と病態に関する研究 厚生省精神経疾患研究. 85-91 (1990)
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[Publications] 管 るみ子: "出産を契機に分裂病様状態が発症したてんかんの1症例" 臨床精神医学. 19. 1667-1673 (1990)
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[Publications] 熊代 永: "側頭葉てんかんの視覚情報処理機構についてーアイマ-クレコ-ダ-による分析" 難治てんかん予防と対策に関する研究 厚生省神経疾患研究. 203-207 (1988)
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[Publications] 熊代 永: "側頭葉てんかんと聴覚認知機能(Dichotic Listening Testによる)の関係" 難治てんかん予防と対策に関する研究 厚生省神経疾患研究. 153-159 (1988)