1991 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質リン酸化反応によるシナプス伝達効率制御のメカニズム
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02670520
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 龍雄 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (80162965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 亮 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (90094383)
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Keywords | シナプス後肥厚部 / カルモジュリンキナ-ゼII / Cキナ-ゼ / 長期増強 |
Research Abstract |
LTP研究から、シナプス後側のカルモジュリンキナ-ゼIIやCキナ-ゼがシナプス可塑性発現に重要であるとされる。そこでまず、これらの酵素のシナプス後部に局存する基質タンパク質(の特性)を明らかにすることが必要不可欠と考え,単離シナプス後肥厚部(PSD)内のこれら2種の酵素の性質を調べ、さらに、自己リン酸化型カルモジュリンキナ-ゼの役割を明らかにする目的で、それに対する特異抗体を作製した。 1.大脳PSD中に、ミエリン塩基性タンパク質とは異なる分子量17KのCキナ-ゼ基質を検出した。 2.大脳皮質、海馬PSDには6種の、小脳PSDには4種の主要なカルモジュリンキナ-ゼ基質を認めた。 250K基質は、P_<400>タンパク質ないしその類縁タンパク質であった。200K基質はミオシンとの類似性を示した。PSD中の細胞骨格関連のフォドリン、アクチン、チュブリン、カルモジュリンはリン酸化されなかった。 3.カルモジュリンキナ-ゼIIαサブユニットのMet^<281>からCys^<289>に相当するペプチドを人工合成し、リン酸化後、HPLCでリン酸化ペプチド(PYー66)を精製し、兎に免疫した。得られた血清から抗非リン酸化ペプチド抗体成分を吸収した後、IgGを調製した。抗体はELISAでPYー66に対して特異性の高い反応を認めた。Western blottingでは、自己リン酸化型カルモジュリンキナ-ゼIIを認識した。PSD画分に対しても、大脳皮質、海馬の画分で自己リン酸化型α,βサブユニットを認識した。小脳PSDでも、自己リン酸化型α,β,β'サブユニットバンドと反応した。Westernでのバンド出現の時間経過はCa^<2+>非依存性活性の発現経過とよく一致していた。培養細胞では、NMDAあるいは、ionomycin処理でキナ-ゼIIの自己リン酸化が起きたニュ-ロンを染めた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 鈴木 龍雄,田中 亮: "シナプス後側における神経伝達効率制御のメカニズムータンパク質リン酸化反応の役割ー" 生化学. 63. 22-28 (1991)
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[Publications] Suzuki,T.,AbeーDohmae,S and Tanaka,R.: "The presence of 17K protein,a major specific substrate kinase C,gound in the Tritonーinsoluble braetion of sunaptosome prepared bron rat brain" Neurochemical Research.
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[Publications] 鈴木 龍雄: "シナプス後肥厚部における長期増強発現のメカニズム" 薬物・精神・行動. (1992)
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[Publications] Suzuki,T.,AbeーDohmae,S.& Tanaka,R.: "P_<400> protein is one of the major substrates for Ca^<2+>/calmodulinーdependent protein kiuase II in the postsynaptic deustyーengiche fractions isolated grom rat cerelral contex" Neurochemistry Internation. 20. 61-67 (1992)
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[Publications] Suzuki,T.,OKumuraーNoij,K.Oguna,A,Kubo,Y.& Tamakak.: "Anitibody reacting specifically to the Thr^<286>ーautophosporylated αーSubunit of the Ca^<2+>/Calmodulinーdependent protei kinase II." Pros、Natl.Aced,Sci,U.A.s. 37. 109-113 (1992)