1991 Fiscal Year Annual Research Report
粘弾性特性のリアルタイム同定とファジイ理論を応用した食道狭窄拡張制御装置の開発
Project/Area Number |
02670534
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Research Institution | Dept. of Medical Technology, College of Medical Technology and Nursing, University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂庭 操 筑波大学, 医療技術短期大学部・衛生技術学科, 教授 (40134233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 道男 筑波大学, 構造工学系, 教授 (10016446)
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Keywords | 粘弾性 / 食道狭窄症 / マイクロコンピュ-タ- / Neural Network / 食道ブジ- |
Research Abstract |
昨年度までの研究経過において食道拡張用のバル-ンの特性解析が大きな問題として浮かび上がって来た。バル-ン内圧の変化から拡張力と周長を推定する方法を新しく開発したが、実際に動物モデル(イヌ)で測定実験を行ってみると拡張に伴って周長の増加と共に張力の変化が不規則な振る舞いを示す例があり、数学モデルから得られた単一の関数の能力に限界があることが分かった。この問題を解決するため、Neural Networkを導入した。これは人間の脳の情報処理システムをモデル化する上で生まれた理論である。Neural networkの構成は入力、中間、出力層の3層構造、素子数はそれぞれ3、9、1のものを2つ用いた。このNetworkに食道健常部と狭窄部での内圧、送水量を入力し、周長と拡張力を計算させるわけである。食道健常部のモデルとしては2種の弾性材料を、狭窄部モデルとしてはこの上にさらに別の弾性材料(8種類)をかぶせてモデルによる予備学習実験を行った。学習方法としてはバックプロパゲ-ションを採用した。11種の組み合わせによる学習から得られた結果と実測値を比較するといずれも誤差は5%以内であり、極めて良い推定結果が得られた。更にこの学習結果は様々な食道壁の弾性に対応したものであり、3つのパラメ-タ-は3次元空間で良く補完されていることが分かった。このように粘弾性特性の推定に大きな進歩が得られたので、この学習させたニュ-ロを用いてどんな拡張用のバル-ンにも対応できるようバル-ン特性の正規化の方法を開発した。これに加えてこれまで送水量で制御していた拡張作業をニュ-ロの出力である周長によってPID制御を行うこととした。以上の結果をふまえ、イヌの食道狭窄モデルの拡張実験を行った。これまでの大きな問題点として、狭窄部と健常部で拡張にさいして圧力変化の差がはっきり同定できなかったが、新しいシステムでははっきりとした差が確認できるようになった。現在実際の臨床応用へむけてモデル実験を続けている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 坂庭 操,太田 道男: "粘弾性特性のリアルタイム同定とファジイ理論を応用した食道狭窄拡張制御装置の開発" 筑波大学医療技術短期大学部研究報告. 12. 129-131 (1991)
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[Publications] 坂庭 操,太田 道男: "Neural Networkによる粘弾性特性実時間同定に基づく食道狭窄拡張装置の開発" 日本小児外科学会雑誌.