1990 Fiscal Year Annual Research Report
腸管の運動機能異常、特にヒルシュスプルング病の発生学的画からの病態解明
Project/Area Number |
02670546
|
Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
植村 貞繁 香川医科大学, 医学部, 助手 (40160220)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 泰宏 香川医科大学, 医学部, 助教授 (10136004)
戸谷 拓二 香川医科大学, 医学部・附属病院, 教授 (70033074)
|
Keywords | neural crest / ヒルシュスプルング病 |
Research Abstract |
【目的】腸管壁内神経叢の先天異常により機能的腸閉塞症をきたすヒルシュスプルング病の病因を究明するため、胎生初期の腸管神経系の発達を研究することを目的とした。 【方法】ウィスタ-系妊娠ラットより、胎齢12日から17日の胎児を摘出し、これを連続凍結切片とし、SAB法による免疫組織化学染色を行った。使用した単クロ-ン抗体は、neural crestのマ-カ-として抗neurofilament抗体(NF)、HNKー1を、シナプス小胞のマ-カ-としてsynaptophysin(SY)を用いた。 【結果、考察】胎齢12日の食道、胃、近位中腸にはNF,SY,HNKー1共に未分化な腸管間質の中に認められたが、下部中腸以下の腸管には認められなかった。13日、14日、15日と3種のマ-カ-は順次腸管を結腸まで下降し、neural crest migrationが整然と行われることが明かとなった。しかし、結腸下部と直腸では、NFは15日にほぼ同時期に発現するのが認められたが、HNKー1は1日遅れて直腸にみられ、SYは逆に直腸の方から先に認められた。また、直腸周囲の神経叢は直腸壁内に神経が出現する前に明かとなった。 以上の結果から、直腸の神経支配は口側方向からのneural crest migrationのみならず、直腸周囲神経叢の関与も重要と考えられた。ヒルシュスプルング病の病因は、今回の単クロ-ン抗体による検討から、neural crestの腸管内への移動が結腸あるいは直腸で停止したためと考えられるが、詳細についてはまだ不明の点が多く、今後更に研究されなければならない。
|
Research Products
(1 results)