1990 Fiscal Year Annual Research Report
精製ミオグロビンの静脈内投与による循環動態の変化および臓器障害に関する実験的研究
Project/Area Number |
02670557
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
折井 正博 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40129383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 秀年 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50209649)
朝見 淳規 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30212492)
新見 正則 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80198415)
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Keywords | MNMS / 腎障害 / 循環動態 / ミオグロビン |
Research Abstract |
従来よりMyonephropathic metabolic syndrome(MNMS)に伴う腎不全の原因は,著明なミオグロビン尿がみられたのちに腎不全に陥り,死亡症例の腎の尿細管にミオグロビン円柱が認められたことなどから,経験的にミオグロビンによる尿細管障害と考えられていた。そこで今回われわれはMNMSに合併する循環不全の原因もミオグロビンによるのではないかと考え,精製したミオグロビンを静脈内に投与し循環動態の変化を観察しようと試みた。そこでまずミオグロビンを雑種成犬の骨格筋より,硫安分画,透析,分子クロマトグラフィ-,イオン交換クロマトグラフィ-などを用いて精製した。得られたものが純品であることはSDS電気泳動・高速液体クロマトグラフィ-にて確認した。次にミオグロビンが腎障害を生じる血中濃度を求めるために,マウス・ラット・ウサギに様々な量のミオグロビンを単回および連日投与した。臨床では明らかに腎不全への進行が予想されるような著明なミオグロビン尿の状態でさえ,死亡するものはなく,血中尿素窒素・血中クレアチニンとも生理食塩水投与群に比較して変化なく,摘出腎の光学顕微鏡所見にも著変をみなかった。そこで過去の臨床報告よりミオグロビンの腎毒性を増加させる因子として酸性尿・脱水・アシド-シスが言われているため,それぞれの状態を作りミオグロビンを投与したが,生理食塩水投与群と比らぺて変化はなかった。ウサギマミオダロビン投与前後の循環動態の変化を調べたが,血圧・心拍数とも変化しなかった。以上よりミオグロビンは循環動態に変化を及ぼさず,まして過去の臨床経験より当然の如く信じられていた腎毒性さえミオグロビン単独では生じなかった。今回のわれわれの実験より,ミオグロビン単純では臓器障害はなく,ミオグロビンは筋肉融解量の指標としてのみ意味があると思われた。
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