1990 Fiscal Year Annual Research Report
肝ミトコンドリア機能よりみたグルカゴン投与による新たな肝予備力評価法の開発
Project/Area Number |
02670576
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 敬一郎 京都大学, 医学部, 助手 (80159186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶌原 康行 京都大学, 医学部, 助手 (30196498)
小澤 和恵 京都大学, 医学部, 教授 (00026858)
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Keywords | グルカゴン / 動脈血中ケトン体比 / 肝エネルギ-チャ-ジ / 肝ミトコンドリア酸化的リン酸化能 / 閉塞性黄疸 |
Research Abstract |
黄疸肝に於ける肝予備力低下に関する病態については未だ明らかでない。本研究では,グルカゴンが一時的に肝でのエネルギ-消費を増大させる点に注目し、正常肝と黄疸肝に於けるグルカゴン負荷後の動脈血中ケトン体比の変動から、黄疸肝の病態を検討した。白色家兎を正常群と総胆管結紮後48時間の黄疸群とに群別し、グルカゴン20ug/kgをワンショット静注した。正常群では、肝エネルギ-チャ-ジは、グルカゴン投与30分後に低下し、以後漸増。肝ミトコンドリア酸化的リン酸化能は、30分後に上昇し、以後漸減。肝ミトコンドリア酸化還元状態を反映する動脈血中ケトン体比は、30分後に最も低下し60分後には前値のレベルに回復した。血中ケトン体比の変動の振幅は大きく、エネルギ-チャ-ジの変動をより早く反映した。黄疸群ではエネルギ-チャ-ジは、グルカゴン投与30分後に有意に低下したが、90分後の時点でも回復しなかった。酸化的リン酸化能は、グルカゴン投与によっても、変動を示さなかった。血中ケトン体比は、45分後に最も低下したが、その振幅は小さく、回復は遅延し、90分後に前値のレベルに戻った。以上より、正常肝のミトコンドリアは、エネルギ-チャ-ジの低下に対して鋭敏に反応し、酸化還元状態に大きな振幅をもたせるにより肝ミトコンドリアでの代償的なエネルギ-産生を亢進させているのに対し、黄疸肝のミトコンドリアは、エネルギ-チャ-ジの低下に反応する酸化還元状態の振幅が小さいため、代償的なエネルギ-産生亢進が、有効に行われないと考えられる。即ち、肝ミトコンドリア酸化還元状態の固着が黄疸肝に於ける肝予備力低下の一因であることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 山口 哲哉,高田 泰次,木内 哲也,嶌原 康行,森 敬一郎,小林 展章,山岡 義生,小澤 和恵: "グルカゴン負荷試験の再評価ー肝エネルギ-代謝からみた基礎的検討ー" 日本外科代謝栄養学会誌. 24. 416-416 (1990)
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[Publications] 山口 哲哉,高田 泰次,木内 哲也,嶌原 康行,森 敬一郎,小林 展章,山岡 義生,小澤 和恵: "肝エネルギ-代謝に及ぼすグルカゴンの影響ー動脈血中ケトン体比を指標としてのグルカゴン負荷試験の再評価ー" Japanese Journal of Parenteral Enteral Nutrition. 12. 1314-1315 (1990)
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[Publications] 山口 哲哉,高田 泰次,木内 哲也,嶌原 康行,森 敬一郎,小林 展章,山岡 義生,小澤 和恵: "障害肝エネルギ-代謝に及ぼすグルカゴンの影響 動脈血中ケトン体比を指標として" 日本消化器外科学会誌. 124. 223-223 (1991)
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[Publications] Takada Y,Yamaguchi T,Kiuchi T,Mori K,Shimahara Y,Kobayashi N,Yamaoka Y,Ozawa K,: "Effect of glucagon on hepatic energy charge and arterial ketone body ration in normal rabbits" Gastroenterology.
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[Publications] Yamaguchi T,Takada Y,Mori K,Kiuchi T,Higashiyama H,Tanaka A,Shimahara Y,Kobayashi N,Yamaoka Y,Ozawa K.: "Hyporesponsiveness of arterial ketone body ratio after glucagon load in jaundiced liver" Surgery.