1990 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌切除後肝再発予防を目的とした新しい免疫療法の確立
Project/Area Number |
02670579
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岡 正朗 山口大学, 医学部, 講師 (70144946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光永 斎 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (70174076)
内山 哲史 山口大学, 医学部, 助手 (90136177)
鈴木 敞 山口大学, 医学部, 教授 (20026834)
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Keywords | ラット転移性肝癌モデル / ILー2 / 門脈内持続投与 / NK活性 / LAK活性 / 術後免疫能 / 大腸癌 |
Research Abstract |
ラット転移性肝癌モデル(ラット腹水肝癌AH130)を作成して、門脈内にカニュレ-ション後、control(生食投与)群(C群)、ILー2皮下持続投与群(S群)、ILー2門脈内持続投与群(P群)を比較検討した。P群では、転移率の減少と転移個数の減少を認めたが、S群では同様の効果を認めず、ILー2門脈内投与が肝転移巣増殖抑制に対し、最も有用であった。また、肝非実質細胞を比重遠心法にて分離したところ、P群において、抗YAC1活性(MK活性)、抗EL4活性(LAK活性)および移植したAH130に対する活性(抗AH130活性)は他の群に比べて明らかに増強されており、門脈内ILー2投与が肝非実質細胞を著明に活性化することが確認された。このことから、転移性肝癌に対する肝血管内ILー2持続投与は有効と考えられた。臨床例においても、現在、切除不能転移性肝癌4症例に対し、ILー2持続肝動注療法を施行し、1例にCRを認めている。また、転移性肝癌4例の肝切除後に、肝再発予防を目的としてILー2投与を施行しているが、現在のところ全く再発を認めていない。養子免疫療法も切除不能大腸癌に施行しており、その効果を観察している。 また、手術による免疫能の変動を、末梢血単球を分離し、PHAおよびSACリンパ球幼若化能、ILー2産生能、ILー2receptor発現率およびNK活性などにより観察したところ、術後3日目に明らかに低下したことから、術後の免疫能低下は明らかであり、癌の転移に対して術後は促進状態にあると言えた。また、術後ILー2投与を5例に施行したところ、NK活性およびLAK活性の低下が防止できたことから、術前術後のILー2投与は有用であると考えられた。 現在、大腸癌患者のうち、CEAが20ng/ml以上の患者を対象として、経臍静脈的門脈内カニュレ-ションを施行し、同部よりの術後免疫療法を計画している。このカニュレ-ション用の器具も考案中である。
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Research Products
(2 results)