1990 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌に対する糖鎖結合多糖被覆リポソ-ムを用いたミサイル療法
Project/Area Number |
02670582
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
瀬川 徹 長崎大学, 医学部, 講師 (40196936)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井沢 邦英 長崎大学, 医学部, 助教授 (40124820)
|
Keywords | pullulan / 多糖被覆リポソ-ム / AH66 / ^<14>C標識リポソ-ム / galactosamine / lactose / コラゲナ-ゼ潅流法 / ^3H標識イヌリン |
Research Abstract |
天然に存在する多糖pullulan(分子量:約5万)にgalactose残基を導入した多糖被覆リポソ-ムを用いて,ラット肝癌細胞AH66のin vitroにおける^<14>C標識リポソ-ムの取り込みを検討した。CHPー50ー1.7(分子量5万のpullulanに100単糖当り1.7個のコレステロ-ル基を導入していることを表わしている。)をコントロ-ルとしてgalactosamineー8.0ーCHPー50ー1.7(100単糖当り8.0個のgalactosamineを導入している。)と1ーaminoーlactoseー5.5ーCHPー50ー1.7(100単糖当り5.5個のlactoseを導入している。)について経時的に比較検討した。lactose,galactosamineを導入した群ではともに3,6,9,12,15hでCHPより高い取り込みが認められ,単糖のgalactosamineに比べ2糖であるlactoseにおいて,より高い取り込みの傾向が認められた。lactoseは,6hで1.38倍(P<0.01),9hで1.32倍(P<0.05)であり,galactosamineでは6hで1.16倍(P<0.01)12hで1.21倍(P<0.05)であった。しかし,コラゲナ-ゼ潅流法により分離した肝実質細胞においてはこれらの取り込みの上昇はみられなかった。さらに,lactoseーCHPについて検討を加えるうちに,細胞数を増やすことで,より早い時間により大きな差を認めることが判明した。そこで,細胞数を1×106/one wellとして,freeでは細胞に取り込まれないイヌリンを^3Hで標識した^3H標識イヌリンをリポソ-ムに封入し,リポソ-ムは^<14>Cで標識してlactoseーCHPとCHPの3h後の取り込みをAH66について検討した。lactoseは^<14>Cーリポソ-ムとして2.8倍(P<0.01),^3Hーイヌリンとして2.6倍(P<0.01)の取り込みの上昇を認めた。多糖被覆リポソ-ムは,その構造上安定であり,lactoseの導入により肝癌細胞の取り込みの上昇がみられ,正常肝細胞ではその上昇が認められなかったことは,有効な肝癌ミサイル療法になりえると考えられる。
|
-
[Publications] 山本 正幸,瀬川 徹他: "ガラクト-ス残基を有するプルラン被覆リポソ-ムを用いた肝癌化学療法への基礎的検討" DDS. (1991)
-
[Publications] 瀬川 徹他: "肝癌に対する術前リピオド-ル併用肝動脈塞栓術のcomputed tomographyによる効果判定" 日本消化器外科学会雑誌. 24巻. 51-58 (1991)