1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02670595
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
内田 英二 日本医科大学, 医学部, 助手 (70176684)
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Keywords | 膵臓癌 / 生物学的特性 / 癌遺伝子 |
Research Abstract |
1.ヒト膵癌組織の生物学的特性の検討 ヒト膵癌組織における免疫組織化学的検討ではEpidermal Growth Factor(EGF)は72%、Epidermal Growth Factor(EGFR)は36%、癌遺伝子蛋白では、cーerbBー2が28%、Nーmyc,cーmycがそれぞれ9%,39%に認められた。予後との関連が示唆される組織学的前方被膜浸潤(S)はEGF、EGFR、cーerbBー2の発現陽性のものは陰性のものに比して、有意に高率であった。cーerbBー2のみの検討では、cーerbBー2陽性症例は後方浸潤(rp)が陰性であった1例を除き全例s(+),rp(+)であり、浸潤性の強さを示していた。腫瘍の大きさなど、他の因子とこれらの発現には明らかな関連は見られなかったが、腫瘍径が2cm以下の症例ではすべて陰性であった。生存期間については、EGF、EGFR、cーerbBー2陽性症例(7.5±1.3ヶ月)、は陰性症例(11.7±1.9ヶ月)に比して、有意に短縮していた。Nーmyc,cーmycはそれぞれ9%,35%に陽性で、肉眼的進行度との関連をみると、それぞれStage II群0%,40%,Stage III+IV群11%、33%であり、今回の検討では有意の相関はみられなかった。 2.膵炎自然発症系ラット(WBN/Kob)による膵発癌実験 通常のazaserinによる膵発癌がWBN/Kobラットで見られなかったため、Dimethylbenz(a)anthracene(DMBA)1.0mgを直接膵臓に投与する方法による発癌実験を行った。約40%の動物の膵臓に腫瘍が発生し,管状構造を持つ腺癌であった。免疫組織学的検討では、estrogen receptor(ER)は検出されなかった。なお、現在この癌をin vitroにて株化細胞化を試みており、これにより、estrogenに作用を受けていると考えられているacinar cellより発生した癌の特性を詳細に検討し得ると考えている。
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Research Products
(2 results)