1991 Fiscal Year Annual Research Report
肝再生に及ぼす血小板増殖因子と血小板内部環境に関する研究
Project/Area Number |
02670596
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
田中 孝也 関西医科大学, 医学部, 助教授 (70121952)
|
Keywords | 肝再生 / 血小板数 / 血小板内部環境 |
Research Abstract |
最近、血小板が肝再制に大きく関与していることが報告された。しかし、血小板の数、その機能の肝再生への影響に関して検討された報告がないため、血小板数、血小板機能、血小板内部環境を種々変化させ検討した。 結果 (1)血小板の量的変化の検討:ラット血小板数を正常の1/2に減少せしめた群、2倍に増加せしめた群を作成し、血小板数正常ラット群との間での肝再生率について検討した。HigginsーAndersonの方法にて70%肝切除を施行後、7日目の肝重量比を用いて検討したところ、血小板数正常群および血小板数増加群と血小板数減少群との間に約18%の有意の肝重量の低下を認めた。しかし、血小板数正常群と血小板数増加群との間には有意差を認めなかった。次に、 ^<14>Cーleucincをもちいて各群での蛋白合成に関して検討した。その結果、肝重量比と同様に、血小板数減少群では血小板数正常群、血小板数増加群に比較し、その蛋白合成率は有意に減少したが、血小板数正常群と血小板数増加群との間には有意差を認めなかった。 (2)血小板の質的変化の検討:血小板のエネルギ-チャ-ジを窒素などを用いて、正常の1/2に減少および2倍に増加せしめた群を作成し、上記と同様に肝重量比について検討した。しかし、いずれの群においても正常群との間に有意差を認めなかった。次に、蛋白合成について検討した。蛋白合成率はエネルギ-チャ-ジ減少群と正常群との間に有意差を認めなかったものの、正常群とエネルギ-チャ-ジ増加群とでは増加群の方が有意に合成率が増加していた。したがって、肝再生にとって血小板数の減少は不利であり、しかも、再生にとって血小板のエネルギ-チャ-ジが亢進している方が有利と言える。
|