1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02670617
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
藤田 博正 久留米大学, 医学部, 講師 (90156878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小中 敏生 久留米大学, 医学部, 助手 (00195752)
永松 佳憲 久留米大学, 医学部, 助手 (70198357)
島 一郎 久留米大学, 医学部, 助手 (60178928)
山名 秀明 久留米大学, 医学部, 講師 (30140669)
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Keywords | 食道癌術後病態 / 頸胸腹三領域リンパ節郭清 / 気管支動脈 / 迷走神経肺枝 / 肺うっ血 / 換気 / 血流分布 / 肺内水分量 / vasoparalysis |
Research Abstract |
1 実験的検討:(1)気管支動脈・迷走神経肺枝温存手術の循環動態(第3病日)食道切除+頸部縦隔気管郭清に右気管支動脈・迷走神経肺枝切断を付加した犬では血圧低下,脈拍上昇. _1S係数・左室および右室仕事係数が低下し.肺動脈圧・肺動脈楔入圧の上昇が顕著であった。過大な手術侵襲により肺欝血と末梢低潅流の両者がみられる循環不合が考えられた。一方.右気管支動脈・迷走神経肺枝温存犬ではこれらの変動がいずれも軽度であり.特に肺動脈楔入圧が術前値と同じであることから肺欝血はほとんどないと考えられた.実際、血管外肺内水分量は切断犬23%の上昇に比べ,温存犬9%の上昇にとどまった。(2)呼吸動態(第3日)切断犬は温存犬に比べ.肺胞動脈酸素格差(AーaDO_2)、シャント率(Qs/Qt)、呼吸指数(RI)が有意に上昇し、より高度の低酸素血症をきたした。一方多種不活性ガス洗出し法による換気/血流分布の検査では、切断犬において換気/血流比の上昇が顕著で迷走神経切断による肺動脈血流の低下が推測された。(器械呼吸下のため換気量は一定と仮定した。). 2 臨床的検討、食道癌三領域リンパ節郭清例を対象に術後の呼吸循環動態を経時的に観察した。右気管支動脈・迷走神経肺枝切断例では温存例に比べ.血圧低下(0〜4病日)、脈拍上昇(0ー4病日)圧室仕事係数の低下(0病日).肺動脈圧の上昇(0ー2病日).肺動脈楔入圧の上昇(0ー1病日)がより顕著であった。血管外肺内水分量の上昇(1病日)は両群間に差を認めなかった。以上より気管支動脈・迷走神経肺枝切断により.左室機能低下などによる循環不全に対する心・血管系の代償不全(vasoparalysis)をきたし,肺欝血によって肺内水分量が上昇し,microate lectasisなどによる肺シャントの増大が呼吸不全の一周と考えられた。
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