1990 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性神経栄養因子の分離精製と脳血管性痴呆の治療への試み
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02670628
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
早川 徹 大阪大学, 医学部, 教授 (20135700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲村 英二 大阪大学, 医学部, 助手 (30225388)
山田 和雄 大阪大学, 医学部, 助手 (90150341)
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Keywords | 脳虚血 / 神経栄養因子 / 逆行性変性 / bFGF / 視床変性 |
Research Abstract |
1.虚血性神経栄養因子の分離:ラット中大脳動脈閉塞による局所脳梗塞モデルを作成し、12日後に虚血周囲皮質と対側皮質、および両側の視床をサンプリングした。これらをすりつぶした後、超遠沈し上清を硫安で塩析して粗分画とした。これをさらにFPLCシステムでゲル濾過し各分画を得た。神経栄養活性の検定は、胎仔の大脳皮質と視床ニュ-ロンを培養し、これに各分画を添加してその生存延長効果を検索することによった。その結果67k、32k、12.4k付近の分画に神経栄養活性が認められた。この活性は梗塞周囲皮質にのみ認められ、対側皮質や、両側の視床にはみられなかった。また活性は皮質と視床の両方のニュ-ロンに対して認められた。このことは梗塞周囲皮質ニュ-ロンと梗塞側視床ニュ-ロンのどちらも虚血性軸索損傷を受けるにもかかわらず、視床ニュ-ロンのみが逆行性変性に陥ることをよく説明する。この神経栄養活性が既知の成長因子によるか否かを明らかにするため、bFGF、EGF、NGFに対する抗体を用いて、抽出粗分画のWestern blottingを行った。その結果bFGFのみが検出可能であり、かつ梗塞周囲皮質に他の部位よりも明らかに多くのbFGFが存在することを明らかにした。また免疫染色ではbFGFはニュ-ロンと反応性アストログリアの両方に存在するが、梗塞周囲のアストログリアに梗塞後1ー2週間して明らかにbFGF陽性のものが増加した。ついで抗bFGF中和抗体(3T3)を用いて、神経栄養活性の中和試験を行ったところ、32k付近の分子を含む分画での活性の一部が抗bFGF抗体により用量依存的に抑制された。このことから神経栄養活性の一部はbFGFによることが明らかとなった。2.治療実験:胎仔ニュ-ロンの培養系を用いたin vitro低酸素負荷モデルでEGFとbFGFが用量依存的に効果を示すことを明らかにした.さらにラットの中大脳動脈閉塞モデルで,緩徐に起こる視床の萎縮がbFGFの大槽内投与により防止しうることを明らかにした.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kohmura E,et al: "Hippocampal neurons become more vulnerable to glutamata after subclitical hypoxia:An in vitro study" J Cereb Blood Flow Metabol. 10. 877-884 (1990)
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[Publications] Kinoshita A,et al: "Modification of anoxic neuronal injury human recombinant epidermal growth factor and its possible mechanism" J Neurosci Res. 25. 324-330 (1990)
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[Publications] Kinoshita A,et al: "Effects of astrocyteーderived factors on ischemic brain edema induced by rat MCA occlusion" APMIS. 98. 851-857 (1990)
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[Publications] Kohmura E,et al: "Neurotoxicity caused by glutamate after subcritical hypoxia is prevented by CNQX:An in vitro study using rat hippocampal neurons" Neurosci Lett. 121. 159-162 (1991)
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[Publications] Yamada K,et al: "Basic fibroblast growth factor prevents thalamic degeneration after cortical infarction" J Cereb Blood Flow Metabol. 11. (1991)
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[Publications] 山田 和雄,他: "脳虚血と神経成長栄養因子" 神経進歩. 34. 660-672 (1990)