1990 Fiscal Year Annual Research Report
インタ-フェロンによる人グリオ-マに対するモノクロ-ナル抗体結合増強効果の検討
Project/Area Number |
02670638
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
高橋 弘 日本医科大学, 医学部, 助教授 (30150741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中沢 省三 日本医科大学, 医学部, 教授 (00060351)
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Keywords | 移植ヒト悪性グリオ-マ / モノクロ-ナル抗体 / インタ-フェロン / NK活性 |
Research Abstract |
平成2年度は、当初使用予定のマウスモノクロ-ナル抗体HG4とHE2に代わってヒト型モノクロ-ナル抗体CLNーIgGを優先的に用い、交付申請書に示した研究実施計画とほぼ同様の実験を施行した。 結果は、インタ-フェロンβとγで有意なCLNーIgGの抗原への結合強効果が認められた。 動物モデルとしてはヒト悪性グリオ-マ細胞Uー87MGの皮下移植ヌ-ドマウスを用いたが、さらに当初の予定とは別にさらに小児に発生する悪性グリオ-マに匹敵する代表的な悪性脳腫瘍である髓芽腫瘍細胞TE671の皮下移植ヌ-ドマウスモデルも使用した。また、in vivoにおけるインタ-フェロンの使用にはin vitroの実験から得られた結果をふまえて、さらに現在実際に脳腫瘍の臨床に応用されているという実績からインタ-フェロンβを使用した。結果は、グリオ-マに対すると同様に髓芽腫に対してもこのインタ-フェロンβがCLNーIgGのもつ腫瘍増殖抑制効果を増強できることが明らかになった。腫瘍増殖抑制効果の経過観察には動物用核磁気共鳴装置が極めて効力を発揮し、病理組織学的検索と対比させることによりモノクロ-ナル抗体による腫瘍増殖抑制効果を正確に確認することができた。この抗腫瘍効果増強の機序はin vitroの結果から明らかなように、インタ-フェロンβがCLNーIgG抗体に対する抗原性の発現を高めて抗体の結合を増強させたことは明らかであるが、さらに免疫学的に殺細胞性が高まっている可能性があるので免疫学的パラメ-タ-の検索も同様に施行した。その結果、インタ-フェロンβとCLNーIgGモノクロ-ナル抗体の併用では、CLNーIgG単独投与時に比ベて明らかにNK活性が上昇していることがわかった。平成3年度は、インタ-フェロンβとCLNーIgG抗体との併用療法をヒト悪性グリオ-マ頭蓋内移植ヌ-ドマウスモデルに対して施行する予定である。
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