1991 Fiscal Year Annual Research Report
脳出血によるCholinergic Pathwayの障害とその積極的治療法の開発
Project/Area Number |
02670641
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
片岡 和夫 近畿大学, 医学部, 講師 (10221178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井奥 匡彦 近畿大学, 医学部, 教授 (80088541)
中谷 二郎 近畿大学, 医学部, 講師 (70164217)
黒田 良太郎 近畿大学, 医学部, 助教授 (10161803)
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Keywords | 脳出血 / 脳梗塞 / Nucleus Basalis Meynert / 神経機能の回復 |
Research Abstract |
コンピュ-タ-画像解析装置を用いてAChE組織化学染色標本を定量的に評価することが可能となった。これにより,microballoonによるmass lesionモデル,およびMCA閉塞による皮質下梗塞モデルにて,急性期(1週間)および慢性期(1ー3ヶ月)での大脳皮質のAChE陽性神経験線維の変化を検討した.急性期では患側前頭葉のAChE陽性神経線維は反対側に比べ80ー90%余りも減少した.ところが慢性期になるとこの障害されたAChE陽性神経線維が回復する傾向を示すことが明らかとなった.一方,これらの慢性期皮質下脳卒中ラットモデル(microballoonモデル,MCA閉塞による皮質下梗塞モデル)のNucleus Meynert BasalisをAChE組織化学染色,抗ChAT抗体を用いた免疫組織化学染色にて検討するとcholinergic neuronの減少,変性の傾向を示すことが明らかとなった.またMCA閉塞による皮質下梗塞モデルを使用し,知覚刺激下でのDeoxyglucose autoradiographyにより検討するとtrigeminal nucleusーthalamusーsomatosensory cortexのmetabolic activationが慢性期(3ヶ月)では急性期に比べ有意に回復していることが明らかとなった.すなわち皮質下脳卒中では自然経過中,機能回復を生じることが動物実験で明らかとなった. SHRを用いmicroballoonによるmass lesionモデルの作成を試みたが,SHRでは動物により脳室拡大を生じているものがあった.この事実についてこれまでの文献を調査するとSHRの脳室拡大については最近いくつかの報告があるが,その病態についてはまったく未解決であることが判明した.すなわちSHRでのモデル作成について,当初考えていた高血圧の影響のみでなく他のまだ明らかとなっていない重大な要因の影響を受ける可能性が明らかとなった。
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