1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02670642
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
谷 栄一 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40068424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 行雄 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50104253)
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Keywords | 脳血管攣縮 / アクチン / ミオシン / デスミン / フィラミン / タリン / ビンクリン / αーアクチニン |
Research Abstract |
脳血管攣縮は成犬で自家動脈血を大槽内に注入して作製した。なお脳血管攣縮の進展を観察する目的で、1回注入2日後の成犬(Day2)と、最初の注入7日後で2日間の間隔で計2回注入した成犬(Day7)で観察した。脳血管攣縮度は血管写上の脳底動脈の口径を計測して判定し、脳底動脈の口径はコントロ-ルに比較してDay2で平均70.4±3.2%、Day7で52.8±5.0%であった。イムノブロット法で検索した対象は、脳底動脈のαー平滑筋アクチン、ミオシン、デスミン、フィラミン、タリン、ビンクリク、αーアクチニンで、攣縮犬で多少の相違はあるが、多くの場合イムノブロット上複数の断片を示し、脳血管攣縮では上記蛋白質が分解されることを示唆した。代表例では、Day2でアクチン、ミオシン、デスミン、フィラミンは軽度分解し、タリン、αーアクチニンは中等度分解し、ビンクリンは分解されなかった。Day7ではアクチン、デスミンは軽度分解し、ミオシン、フィラミンは中等度分解し、ビンクリンは高度分解し、メタビンクリン、タリン、αーアクチニンは殆ど完全に分解した。すなわち、Day7の方がDay2より一般に分解が高度であり、収縮蛋白質系と細胞骨格蛋白質系とのuncouplingの程度が、Day2よりもDay7の方が強く一種の異常状態にあることを示唆する。このことは平成2年度の成績、すなわちカルパインの選択的阻害剤であるカルペプチンの実験で、カルパインが脳血管攣縮の発生に関与しているという所見と合わせ考えると、上記蛋白質の分解はカルパインによると考えられるが、他の蛋白質分解酵素の関与も否定出来ない。Day7における脳血管攣縮の血管弛緩剤に対する抵抗性とcomplianeの減少は、筋収縮蛋白質、細胞骨格蛋白質、それらに関連する蛋白質の高度の分解によるものと考えられる。なお、上記蛋白質の免疫組織化学では量的変化の検討が困難であるので、途中で断念した。
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[Publications] Minami N,Tani E,Maeda Y,Yamaura I,Fukami M: "Effects of Inhibitors of Protein Kinase C and Calpain in Experimental Delayed Cerebral Vasospasm." J.Neurosurg.76. 111-118 (1992)
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[Publications] Minami N,Tani E,Maeda Y,Yamaura I,Nakano A: "Immunoblotting of contractiole and cytoskeletal proteins as well as their associated proteins of canine basilar artery in vasospasm." J.Neurosurg.