1991 Fiscal Year Annual Research Report
自家および同種骨・関節移植による関節再建術の実験的研究一種々の自家,同種骨,関節移植術の比較検討ー
Project/Area Number |
02670656
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
土井 一輝 山口大学, 医学部・附属病院, 助教授 (50133153)
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Keywords | 血管柄付関節移植 / 同種移植 / 主要組織適合抗原 / 免疫抑制剤 / 実験的研究 |
Research Abstract |
本実験の目的は、血管柄付同種関節移植に際して移植関節に対する免疫抑制剤サイクロスポリン(CyA)の効果について検討する事である。主要組織適合抗原(MHC:Major Histocompatibility Complex)が明確であるラットを用いて膝関節のみを同所に移植する実験モデルを作成し、移植関節の機能について長期観察を行った。 MHCが一致する同系移植群では、拒絶は生じず早期に骨癒合が得られ,しかも長期にわたり関節機能が良好に保たれていた。 一方、MHC major mismatch間では,CyAを投与しなければ、一週間以内に移植片の全ての組織が拒絶され関節機能は廃絶された。CyA10mg/kg/dayを術後2〜4週間の短期投与すると、移植片と宿主間の骨癒合は早期に得られた。しかし,その後CyAの投与を中止すると、術後10週頃に病的骨析・関節不安性が生じ、関節機能は維持できない状態であった。CyAの短期投与には、拒絶の発生を遅延させる効果は認められたが、恒久的な免疫学的寛容は得られず,移植関節は末梢血行の破綻が主原因である血管性拒絶を受け壊死に陥った。 CyA 10mg/kg/dayを連続投与すると拒絶が完全に抑制されたが、CyA 5mg/kg/dayの連続投与では、骨髄への拒絶は抑制不能であるものの移植関節の機能維持には低濃度の連続与が不可欠であると考えられた。
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[Publications] 村松 慶一,他: "血管柄付同種関節移植の実験的研究." 日本整形外科学会雑誌. 65. 1290 (1991)
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[Publications] 村松 慶一,他: "血管柄付同種関節移植の実験的研究ー拒絶後の移植関節の運命についてー" 整形外科と災害外科. 40. 384-387 (1991)
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[Publications] 村松 慶一: "ラット膝関節を用いた血管柄付同種全関節移植の実験的研究" 日本整形外科学会雑誌. 66. (1992)