1990 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパリン加工膜型人工肺に関する基礎的並びに臨床的研究
Project/Area Number |
02670687
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
兒玉 謙次 九州大学, 医学部, 助手 (20136451)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉武 潤一 九州大学, 医学部, 教授 (10041386)
高橋 成輔 九州大学, 医学部, 助教授 (30038723)
谷山 卓郎 九州大学, 医学部, 講師 (70117167)
|
Keywords | Heparin Surface / Biomaterial / 抗血栓性素材 / 膜型人工肺 / 体外循環 / 呼吸不全 |
Research Abstract |
重症呼吸不全に対して膜型人工肺による呼吸補助を行う場合、膜型人工肺を含む体外循環回路内の血栓形成を防止し、体外循環を長時間にわたって維持するためには、ヘパリンの全身投与を必要とする。その結果ヘパリンの抗凝固作用による出血傾向が出現し、出血の制御が困難となることが大きな問題となっている。スウェ-デンで開発された新しいBiomaterialであるヘパリン加工表面(以下Heparin Surface)は、その強い抗血栓作用によりヘパリン全身投与なしに体外循環を長時間維持することを可能にし、この問題を解決する糸口となった。私たちは、1985年以来スウェ-デンのカロリンスカ研究所の研究グル-プと、Heparin Surface膜型人工肺の臨床応用をめざして本研究を続けてきた。 Heparin Surfaceの安全性と有効性を確立するためには、Heparin Surfaceの抗血栓機構を解明することが必要であり、スウェ-デンからHeparin Surface素材を取り寄せ、凝固因子や阻害因子(AntithrombinIII)とHeparin Surfaceの相互反応の解析を行っている。本年度は、まずHeparin Surfaceと第IX因子や第X因子の相互反応を解析することを目的として、スウェ-デンからHeparin Surfaceチュ-ブを取り寄せたが、入手に予想以上の長時間を要した。さらに、Heparin Surfaceによる第II因子の取り込みと阻害を調べた結果、in vitroの実験系では従来ほどの強い取り込み能と阻害能が認められず、Heparin Surfaceの抗血栓機構の再現性に問題がある可能性が示唆された。この点について、実験材料あるいは実験過程のどこに問題があるのかを現在検討中である。 また、わが国でも別種のHeparin Surfaceが抗血栓性素材として開発されたので、その抗血栓機構を第II因子を用いて検討中である。今後、2種類のHeparin Surfaceの抗血栓機構について比較検討し、Heparin Surfaceの有用性を確立したいと考えている。
|