1990 Fiscal Year Annual Research Report
虚血後の再潅流障害における白血球の関与(微小循環における検討)
Project/Area Number |
02670688
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
川崎 孝一 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (70169697)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 利通 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (90041342)
|
Keywords | 虚血・再潅流障害 / 微小循環 / エンドトキシン / 白血球 |
Research Abstract |
<目的>虚血・再潅流時の臓器障害を白血球と血管内皮相互作用の面から検討する。さらにその相互作用に及ぼすエンドトキシンの影響についても同様の方法を用いて調べる。 <実験方法>ゴ-ルデンハムスタ-の背部に観察用のskin fold chamberを装着し、同時に内頚動脈と外頚静脈にカテ-テルを挿入した。手術後48時間以上の回復期をおいた後chamber内を圧迫することにより組織を虚血状態とし、2時間後に虚血解除した。観察は虚血開始前1時間、再潅流後30分、2時間、24時間に行い、生体顕微鏡を用いて細静脈での白血球の血管壁への粘着の程度を観察した。白血球の染色にはacridine orangeを用いた。同時に血流速度、血管径を測定した。エンドトキシン(0.1μg/kg)は虚血開始10分前に静脈内投与し、生理食塩水を投与したコントロ-ル群と比較した。 <結果>(1)細静脈の血管径は両群共に再潅流30分後より拡張が認められ、24時間後まで血管径の増加が持続した。(2)細静脈の血流速度は両群で再潅流30分後より低下が認められ、24時間後にも回復は見られなかった。(3)単位面積あたりの血管壁に粘着する白血球数は生理食塩水投与群では再潅流30分後より増加し、2時間まで持続して24時間後にほぼ虚血前の状態に回復した。エンドトキシン投与群では生理食塩水投与群に比べて2時間後で粘着する白血球が有意に増加しており、また24時間後の回復も生理食塩水投与群に比べて遅延がみられた。 <結論>虚血・再潅流後早期より微小循環不全が起こり、その機序の一つとして白血球と血管内皮相互作用の関与が示唆された。またエンドトキシンはその作用を増強する可能性があると考えられた。
|