1992 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌におけるアンドロゲンレセプターの意義の新しいアプローチによる解析ー分子生物学的および細胞生物学的方面からの検討ー
Project/Area Number |
02670702
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Research Institution | Fukui Medical School |
Principal Investigator |
岡田 謙一郎 福井医科大学, 医学部, 教授 (60026838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 吉司 福井医科大学, 医学部, 助手 (10209968)
河原 優 福井医科大学, 医学部, 助手 (20186878)
秋野 裕信 福井医科大学, 医学部, 助手 (90159335)
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Keywords | 前立腺癌 / アンドロゲンレセプター / レクチン染色 |
Research Abstract |
前立腺癌におけるアンドロゲンレセプター意義を解明するための研究の一環として、前立腺癌のレクチン染色性について検討した。使用したレクチンはPeanut Agglutinin(以下PNA)とUlex europaeus aggulutinin-1(以下UEA-1)で、対象は前立腺偶発癌32例、臨床癌52例であるレクチン染色性は-〜3+の4段階で判定した。PNA結合物質はアンドロゲンの作用により発現するとの報告がある。 結果:(1)PNA染色性は偶発癌で高く、臨床癌で有意に低下していた。(2)リンパ節転移巣のPNA染色性は原発巣に依存していた。(3)UEA-1染色性は臨床病期A1で低く、A2、進行癌(臨床病期CとD)で有意に高かった。(4)リンパ節転移巣のUEA-1染色性は原発巣に依存していた。(5)ホルモン療法後の再燃癌のUEA-1染色性は全例(n=10)強陽性(3+)であった。 PNA染色性が前立腺癌リンパ節転移巣で低下するとの報告があるが、今年度の研究ではPNA染色性は原発巣の染色性に依存している結果であった。ただし臨床病期の進行とともにPNA染色性は低下し、PNA結合物質はアンドロゲンに依存して発現するものと思われた。またUEA-1染色性は癌の進行とともに増強し、ホルモン療法後の再燃癌で染色性は強陽性であったことから、UEA-1結合物質はホルモン非依存性癌で特に発現するものと考えられた。 当教室で樹立したヌードマウス可移植前立腺癌株PC-Kondoはホルモン療法にて骨転移巣の進行が停止したが、ホルモン非依存性に増殖した原発巣から樹立した株であるが、PNA染色ではheterogeneouslyに弱陽性に染色され、UEA-1染色では強陽性に染色された。PC-Kondoでのアンドロゲンレセプターの解析とPNA染色性、UEA-1染色性を前立腺癌転移モデルで検討することにより、アンドロゲンレセプターと前立腺癌の進行の関連性について知見を得られると考えた。
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