1991 Fiscal Year Annual Research Report
いわゆる無機能性副腎皮質腺腫の潜在機能に関する研究
Project/Area Number |
02670713
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
真崎 善二郎 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (40038716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市木 康久 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (00193441)
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Keywords | 無機能性副腎皮質腺腫 / 細胞培養 / Pre・Cushing症候群 / 細胞外基質 / アルドステロン症 |
Research Abstract |
本年度は平成2年度に行ったウシの副腎皮質細胞培養方法を参考にして、ヒト副腎皮質細胞を単層培養した。腎癌の手術時に摘出したヒト正常副腎を使い、副腎皮質細胞を消化、単離したのち、血清と抗生剤を含むHamーF12培養液を用い単層培養した。ヒト副腎皮質細胞は動物種の中でも特に、脂質含有の多い細胞であり、脂肪細胞培養同様に単層培養は難しいものであった。培養数日すると培養皿底面に接着していた細胞が培養液中に浮んでくるため、いわゆるconfluentな状態にはならず、その分化や増殖を知ることは困難であった。そこでコラ-ゲンゲル(細胞外基質物質)に副腎皮質細胞をからませて、培養細胞が浮かないような方法を考えた。方法は副腎皮質細胞を消化、単離し、コラ-ゲン(type I+IV)に混入し、観察あるいは酵素組織化学染色を容易にするためにできるだけ薄く、細胞が一層になるように、すなわち二次元的に培養皿上に塗布した。このコラ-ゲン包埋二次元培養条件下で、細胞は伸展せず球状の形を示し、単層培養よりも低かったが増殖能を示した。オイルレッドO染色により、微細な脂肪滴が観察され、ACTH投与刺激により細胞が収縮し、脂肪滴はその数、大きさともに減少した。ホルモン測定ではコルチゾ-ル、アルドステロンの産生がみられ、この分泌能はACTH刺激に反応した。 この方法によりヒト副腎はアルドステロノ-マ2例と正常9例を施行した。アルドステロノ-マにおいてはコラ-ゲン包埋二次元細胞培養で形態学的には正常副腎との差はほとんど認められなかったが、2例中1例においてアルドステロン産生の高度の上昇が認められた。コルチゾ-ル分泌に関しては両者間に有意差はなかった。当初計画していたヒト正常副腎皮質層別分離培養には未だ至っていない。
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