1992 Fiscal Year Annual Research Report
DSDに対する新治療法の開発(埋め込み型ミニポンプによる薬剤の脊髄内持続投与)
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02670714
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Research Institution | Fukushima Medical College |
Principal Investigator |
山口 脩 福島県立医科大学, 医学部・泌尿器科, 講師 (60006814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深谷 保男 福島県立医科大学, 医学部・泌尿器科, 助手 (20192304)
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Keywords | DSD / GABA / バクロフェン |
Research Abstract |
平成3年度の動物実験から得られたデーターに基づき、今年度は臨床例における検討を行なった。DSDをもっとも効率よく改善する物質はGABA-AおよびBアゴニストであったので、このうち安全性が確立されているGABA-Bアゴニストとしてバクロフェニンを使用した。 重症DSD患者に対して行なったバクロフェンのsingle imjectionの効果は次の通りである。対象は頚髄損傷患者6名で、いずれも膀胱無抑制収縮と外括約筋非協調運動(DSD)を合併していた。バクロフェン0.001mg/kgの脊髄内投与では、外括約筋EMGのみが消失し膀胱容量は増加するものの無抑制収縮は抑制されなかった。この効果は3例中2例に認められたが、1例は無効であった。 投与量を0.005mg/kgまで増加すると、外括約筋のみならず過活動膀胱にも効果が出現し、ウロダイナミクス検査上、外括約筋EMGの消失および無抑制収縮の消失が観察された。一方、下肢の性も全例で緩和傾向を示した。 脊髄内投与量を0.001mg/kgにした3例では、外括約筋EMGおよび膀胱無抑制収縮の消失を認め、DSDのような病的排尿反射が完全に抑制された。作用の持続時間は平均3時間であったが、この間血圧の軽度低下を認めただけで他に重大な副作用は現われなかった。しかし、膀胱無抑制収縮は消失したものの、膀胱静止圧は充満に伴なって増加し、コンプライアンスについては改善効果を認めなかった。 ミニポンプによる長期投与については、ポンプ埋め込み手術に関する患者の同意が得られず実行することができなかった。
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