1990 Fiscal Year Annual Research Report
移植腎の拒絶反応に動員されるT細胞抗原受容体の解析
Project/Area Number |
02670718
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小幡 文弥 北里大学, 医学部, 講師 (60129236)
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Keywords | T細胞抗原受容体 / 拒絶反応 / 腎移植 / PCR |
Research Abstract |
移植腎に対する拒絶反応には、主要組織適合抗原である同種HLA抗原を認識し、応答するT細胞集団が動員されると考えられる。平成2年度では、同種HLAに対する免疫応答のin vitroモデルとしての混合リンパ球培養反応(Mixed Lymphocyte Reaction MLR)に動員されるT細胞集団を用いて、T細胞抗原受容体(T cell receptor TCR)の構造解析法を確立した。即ち、total RNAを出発材料とし、cDNA合成→anchor結合→遺伝子増幅(Polymerase Chain Reaction PCR)→クロ-ニング→塩基配列決定の手順でTCR構造決定を行った。その結果、 1.HLA認識に関与し活性化したT細胞を分離するのには抗CD25抗体+免疫ビ-ズが有用である。 2.用いるT細胞の数は10^4〜10^5個と非常に少なくて良い。 3.ポリdCプライマ-を用いるanchored PCRより、我々が新しく開発した、ポリマ-を用いないanchorligation PCRの方が特異性・再現性においてすぐれている。 などの点が明かとなった。現在まで、MLRにおいて同種HLA認識(Dw13 anti DKT2)に動員された、16種のTCRα鎖cDNAおよび28種のTCRβ鎖cDNAについて、それらの塩基配列を決定した。そのなかには、12種のVα、11種のJα、12種のVβ、8種のJβが含まれていた。特に、Vβ8.1、Vβ12.2、Jβ2.1、Jβ2.7が高頻度に見られた。このように、少数のT細胞からPCRを利用してTCRcDNAの塩基配列決定を行う方法を確立することができた。現在、これを移植腎浸潤T細胞に応用すべく、腎からのT細胞の回収を行っている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Obata F.et al.: "Sequence analysis and oligonucleotide genotyping of HLAーDR“JX6", a DR“blank" haplotype found in the Japanese population." Human Immunology. 27. 269-284 (1990)
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[Publications] Obata F.et al.: "Sequence analyisis and HLAーDR genotyping of a novel HLAーDRw14 allele." Immunogenetics. 32. 313-320 (1990)
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[Publications] Watanabe K.et al.: "Donor bone marrow cell facilitates induction of tolerance to kidney allografts in dogs treated with fractionated lymphoid irradiation and FK 506." Transplantation Proceedings. 23. 568-572 (1991)
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[Publications] 小幡 文弥: "HLAの多型性(ポリモルフィズム)" 実験医学. 8. 120-125 (1990)
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[Publications] 小幡 文弥 (一部執筆担当): "Current Review 臨床検査 1990ー1991 担当部分:HLAに関する最近の進歩" 中外医学社, 8 (1990)
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[Publications] 小幡 文弥 (一部執筆担当): "新生化学実烈講座 第12巻分子免疫学ーII 担当部分:第22章 PCRを用いたHLAの解析" 東京化学同人,