1991 Fiscal Year Annual Research Report
尿路悪性腫瘍の浸潤、転移ににおいて細胞外基質の果たす役割について
Project/Area Number |
02670720
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
北川 龍一 順天堂大学, 医学部, 教授 (20010035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 真一 順天堂大学, 医学部, 助手
磯部 英行 順天堂大学, 医学部, 助手 (20193401)
岩田 真二 順天堂大学, 医学部, 講師 (70168574)
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Keywords | ラミニン / IV型コラ-ゲン / 尿路悪性腫瘍 / 転移 / 基底膜 |
Research Abstract |
症例数を増やし、さらに血清ラミニンP1およびIV型コラ-ゲン7Sdomain濃度について検討したが、IV型コラ-ゲン7S domainはいずれの腫瘍患者群においても上昇は認められず、また転移巣の有無による有意差も見出されなかった。一方、血清ラミニン濃度は、既に報告したように、腎癌および前立腺癌患者において高値を示し、移転巣を有する群ではさらに有意に上昇する傾向が見出せた。全体としてニュ-トロ-ル群と有意差の認められなかった膀胱癌患者群においても、転移巣を有する群では高値を示した。 酵素抗体法を用いて、各腫瘍組織に対してラミニンおよびIV型コラ-ゲン染色を行った結果、血清ラミニン濃度の上昇していた腎癌および前立腺癌の組織は、腫瘍細胞塊を包む形でラミニンが豊富に依存していたが、血清ラミニン濃度の上昇しない膀胱癌組織においては、ラミニンの局在は血管壁に限局していた。同様に酵素抗体法によるIV型コラ-ゲン染色を施行し、IV型コラ-ゲンの局在について検討したところ、血清中濃度についてはラミニンと異なる傾向を示したにもかかわらず、その染色所見はラミニンと同様のものであった。 以上より、血清ラミニン濃度は、特定の腫瘍が能動的にラミニンを分泌する結果であり、腫瘍の存在,転移巣の有無,臨床経過等の指標になり得ると考えられたが、IV型コラ-ゲンに関しては、こうした意義付けが難しいと判断された。 染色態度が同様であるのにかかわらず、ラミニンとIV型コラ-ゲンの血清濃度の変化に隔たりがある理由については不明確であり、今後の重要な課題であると考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 磯部 英行,岩田 真二,藤田 真,北川 龍一: "尿路悪性腫瘍患者における血清ラミニン濃度の臨床的検討" 泌尿器外科. 5. 141-145 (1995)
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[Publications] 磯部 英行,岩田 真二,藤田 真,北川 龍一: "尿路悪性腫瘍患者における血清IV型コラ-ゲナ濃度の臨床的検討ー血清ラミニン濃度との比較を中心にー" 日本泌尿器科学会雑誌.