1990 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞癌の転移巣に於ける制癌剤耐性機構に関する検討
Project/Area Number |
02670725
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
秋元 成太 日本医科大学, 医学部・泌尿器科学教室, 教授 (50089752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 智任 日本医科大学, 医学部・泌尿器科学教室, 助手 (60228492)
堀内 和孝 日本医科大学, 医学部・泌尿器科学教室, 助手 (00173625)
西村 泰司 日本医科大学, 医学部・泌尿器科学教室, 助教授 (00104026)
川村 直樹 日本医科大学, 医学部・泌尿器科学教室, 講師 (40161369)
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Keywords | 腎癌 / 転移性腎癌 / CDDP(Pt濃度) / 薬剤耐性 / メタロチオネイン / 組織適合抗原 / mdr / GSTーπ |
Research Abstract |
樹立人腎細胞癌株5種及び約20例の腎癌手術標本をヌ-ドマウス皮下に移植したが、肺・肝・脳・骨に転移性腫瘤を認めるものは、なかった。そこで、人腎癌浮遊細胞を静注・腎注・脾注を行なったが、肺・肝・脳骨に転移性腫瘤は認められなかった。しかし、VMRC株において、ヌ-ドマウスの肝・肺の培養において腫瘍細胞を認めた。この腫瘍細胞を培養液中で増やし再びヌ-ドマウスに静注し in vivoにてクロ-ニングを試みたが、結節形成までには至らなかった。 一方同一患者の腎癌の原発巣・肝・肺・リンパ節転移部よりの癌細胞の培養に成功した。この各セルラインに対しCDDPの感受性をみてみると、原発巣>肺>肝>リンパ節転移株の順に感受性が高く原発巣と肺では10倍原発巣と肝及びリンパ節では約100倍の違いがIC_<50>において認められた。これらの細胞をヌ-ドマウス皮下に移植すると原発巣では結節形成は認められなかったが肺・肝・リンパ節では結節形成が認められた。この結節形成はリンパ節>肝>肺の順に増殖が速く、このことは別に組織適合抗原認識を測定した値と反比例することが認められヌ-ドマウスにおいても少なからず疫免系の関与が示唆された。 CDDPに対する感受性は、腎癌においては他の泌尿器系腫瘍である膀胱癌・睾丸腫瘍に比して低いが、腎癌におけるPtの動態を試験すべくヌ-ドマウスに腎癌移植後2w後にCDDPを投与しその24h後にPt濃度を測定した。腎癌組織には投与量の約1.2%移行し睾丸腫瘍に比して、高く移行することが認められた。核・膜フラクションにも約50%移行し細胞質中のメタロチオネインが耐性に関与するという結果は得られなかった。現在耐性因子のGSTーπ、mdrをmRNA抽出し検査中である。
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