1990 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胎児の心動作および末梢循環調節機序の発達過程に関する研究
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02670745
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 昌司 九州大学, 医学部, 助手 (00225947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 新吾 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (40209945)
野崎 雅裕 九州大学, 医学部, 助手 (60228319)
小柳 孝司 九州大学, 医学部, 助教授 (30136452)
中野 仁雄 九州大学, 医学部, 教授 (40038766)
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Keywords | 胎児心不全 / 早期新生児死亡 / 腔水症 / 心室拡張終期径 / Fractional Shortening / 超音波Bモ-ド法 / 超音波Mモ-ド法 |
Research Abstract |
本年度は、胎児期の心動態と新生児期の転帰との双方の関連から、胎児心機能不全の病態生理を解明することを目的に検討を加えた。対象は1986年4月から1990年3月の期間に、心機能の評価を目的に心エコ-法を施行した105例である。このなかで13例は心不全のため、早期新生児期に死亡に至った。胎児の心動態の評価には、超音波Bモ-ド法およびMモ-ド法を用いて腔水症の有無、左右両心室の拡張終期径(EDD)およびFS(Fractional Shortening)値を測定した。EDDおよびFSについては、出産前1週間以内に得られた測定値を用い、両心室のいずれかが当該妊娠週数の(平均値+2SD以上)、(平均値ー2SD未満)を示した場合を各々、心拡張、および心収縮率の低下が存在すると判定した。新生児の転帰は出産後24時間以内の心不全の存否によって2群に分け、各々の群と子宮内における腔水症、心拡張および心収縮率低下の三つの指標との関連を検討した。その結果、対象とした全症例のなかで、腔水症、心拡張および心収縮率低下のいずれかの所見を示した例は60例(57.1%)であった。さらに、三つの指標ともに異常を示した症例は6例に認められ、そのなかの5例(83.3%)が心不全によって死亡した。また、腔水症に心拡張あるいは心収縮率の低下のいずれかを随伴した例は60例中4例であった。そのなかの3例(75.0%)は心不全で死亡した。心拡張と心収縮率低下を認めた症例は上室性頻拍の4例で、いずれも生存した。一つの指標のみが異常を呈した例は43例で、うち心不全死亡例は2例(4.7%)のみであった。三つの指標すべてが正常範囲を示した40例のなかで、心不全で死亡した症例は3例であった。以上のことから、子宮内において腔水症に心収縮率の低下あるいは心拡を伴う例は、すでに子宮内において心ポンプ機能の低下が存在していること、そしてそれらは新生児期に高率に心不全に陥ることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)