1992 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胎児の心動作および末梢循環調節機序の発達過程に関する研究
Project/Area Number |
02670745
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐藤 昌司 九州大学, 医学部, 助手 (00225947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 新吾 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (40209945)
野崎 雅裕 九州大学, 医学部, 助手 (60228319)
小柳 孝司 九州大学, 医学部, 助教授 (30136452)
中野 仁雄 九州大学, 医学部, 教授 (40038766)
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Keywords | 超音波Mモード法 / 超音波ドプラ法 / 胎児心機能不全 / 末梢血管抵抗 / 胎児治療 / 完全房室ブロック / 胎児病 / 血流速度 |
Research Abstract |
本年度は、前年度までに正常ヒト胎児を対象として収集した房室弁通過血流速度、上行大動脈、肺動脈および腹部大動脈などの心内および大血管血流速度、および、臍帯動脈ならびに中大脳動脈といった末梢血管血流波形から末梢血管抵抗の指標として算出したResistance Indexを包括し、これらの指標の妊娠進行にともなうnomogramを作成した。 つぎに、これら正常胎児における心および末梢循環動態の指標を用いて、疾病胎児における循環動態を検討した。その結果、まず完全房室ブロックおよび上室性頻拍を有する胎児では、心収縮率は前者では増加、後者では減少し、心拍出量を保持する機構が存在することが明らかとなった。この成績を基礎にして本年度は、腔水症の出現および心収縮率の低下が認められた胎児完全房室ブロック症例に対し、経胎盤的ジギタリス治療を試みた結果、治療後に心収縮率の上昇および腔水症の消失が認められ、本指標が子宮内治療効果の判定に有用であることが明らかとなった。さらに、肝および胎盤血管腫を有する症例においても、心室拡張を介して循環血流量を保持する機構が機能していること、また、双胎妊娠例のなかで双胎間輸血症候群の症例では心収縮率が低下し、心機能不全の状態に陥っていることが明らかとなった。このことは、本症胎児血中のhANP値が上昇していた事実からも裏付けられた。このような疾病胎児における心動態の偏位に加え、子宮内発育遅延症、胎児仮死例あるいは胎児水腫例においては、脳血管抵抗の減少が出現し、末梢レベルにおける循環動態調節機序が存在することが示唆された。
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Research Products
(1 results)