1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02670754
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
兼子 智 東京歯科大学, 歯学部・産婦人科, 講師 (40214457)
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Keywords | ヒト精子 / 精子運動 / ブラジキニン / アンギオテンシン / エンケファリン / ペントキシフィリン / 逆行性射精 |
Research Abstract |
1.精子生理の定量的検討を行なうため、精漿を含まない前進運動精子の選択的調整法を確立した。その基礎的検討として成熟した運動精子の密度を沈降平衡法により測定した結果、1.11ー1.12g/mlであった。細菌除去を目的として、精液中の細菌密度を不連続Percoll密度勾配法により測定したところ、85%Percoll層では無菌となっていた。 2.前項における基礎研究をふまえて、精漿を含まない前進運動精子を無菌的に調製し得るグラスキャピラ-ル-撹拌密度勾配法を確立した。調製した精子分画では奇形率も減少していた。本法はコンピュ-タ-画像解析装置を用いた精子運動測定において有用であった。 3.ペプチド性生理活性物質(ブラジキニン、アンギオテンシンII、エンケファリン、各10ng/ml)はいずれも精漿を含まない高純度な精子の運動を賦活したが、精漿の存在によりその作用が減弱され、臨床応用には不適であった。 4.フォスフォジエステラ-ゼ阻害剤、ペントキシフィリンは、精漿の有無にかかわらず精子運動を賦活した。 5.射精時に精液が膀胱に逆流する逆行性射精における精子回収時、尿の混入により精子運動の低下が問題となる。尿混入による運動低下に対するペントキシフィリンの影響を検討した結果、本剤は膀胱中における尿の毒性に対する抵抗性を強化することが明らかとなった。 6.逆行性射精症例において、膀胱洗浄後、2mMペントキシフィリン添加培養液を膀胱内注入して精子回収を行なった結果、精子運動率の改善を認め、これを体外受精胚移値に供したところ、1例の妊娠例を得た。
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[Publications] T.Kobayashi,S.Kaneko,I.Hara,R.Aoki,T.Ohno,S.Nozawa: "Swim down Separation of proggressively motile sperm from poor quality human semen by the modified funnel prosedure" Archives of Andrology. 23. 17-20 (1991)